ロシアのプーチン大統領は27日、露大統領府で開いた露軍兵士との会合で、反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」を国防省などの予算で全面的に支援していたと明らかにした。また、ワグネル創設者のプリゴジン氏が手がける食品販売・飲食店運営会社「コンコルド」にも、露軍との取引で約800億ルーブル(約1350億円)を支払ったと述べた。ロシア当局は、プリゴジン氏の周辺で資金を巡る不正が無かったかを調査する方針。
ワグネルは、新興財閥オーナーであるプリゴジン氏が2014年に創設したとされ、これまでウクライナのほか、シリアなどの中東・アフリカ諸国で軍事活動を展開してきた。プーチン氏は、ワグネルに対し昨年5月からの1年間で、維持費などとして約860億ルーブルを国家予算から支出したと説明した。
ロシアでは傭兵(ようへい)活動は違法で、プーチン政権は昨年2月にウクライナに侵攻するまでワグネルの存在を公に認めていなかった。今回のプーチン氏の発言は、ワグネルが国の影響下にある軍の「別動隊」だった実態を裏付ける形となった。
またプーチン氏はコンコルドについて27日の会合で「誰も何も盗んでいないか、盗んでいてもそう多くはないと期待したい」と述べ、不正の疑いを指摘。「これらすべてを調査していく」と述べた。ロシア国内でのプリゴジン氏の影響力をそぐ狙いがあるとみられる。【エルサレム三木幸治】