自殺ほう助容疑で27日に逮捕された歌舞伎俳優の市川猿之助（本名・喜熨斗＜きのし＞孝彦）容疑者（47）は、さわやかな口跡で情味のある芝居に定評があり、身体能力の高さでも観客を引きつけた。ファンからは逮捕に驚き、残念がる声が上がった。
猿之助容疑者は1975年、亡くなった歌舞伎俳優の段四郎さんの長男として生まれた。83年に二代目亀治郎を名乗り初舞台を踏み、2012年に「ヤマトタケル」で四代目猿之助を襲名した。スーパー歌舞伎などの創作にも傾注し、人気があった。テレビや映画でも活躍し、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」やTBS系ドラマ「半沢直樹」の他、今年6月に公開延期となった映画「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」にも出演していた。歌舞伎俳優の市川中車（香川照之）さんはいとこ。
東京都中央区の歌舞伎座前では、小雨の中、写真撮影をする観光客らの姿が見られた。神奈川県逗子市の70代の主婦は「逮捕と聞いてびっくり。犯罪なので悪いことは悪いが、そこまで追い込まれていたかと思うとみんな複雑だと思う」と語った。友人で、同県茅ケ崎市の70代の主婦は「一流の芸がある人。相談できる人がいなかったのかと思う。可哀そうの一言です」と話した。
埼玉県草加市の80代の主婦も「猿之助容疑者には周りには分からない悩みがあったと思うが、早く解決して良い方向にいってほしい。いつかまた頑張って歌舞伎をやってもらいたい」と残念がった。【広瀬登、平本絢子】
