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プリゴジン氏撤収 識者「諦めるかは分からず」「一定の勝利」


 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏がプーチン政権に反旗を翻した。この一連の事態を、識者たちはどう見るのか。

揺らいだプーチン大統領の権力基盤

小泉悠・東大先端科学技術研究センター専任講師の話

 ワグネルの反乱が長引いてロシア軍との内戦状態になれば、ウクライナ戦況に与える影響は甚大だった。だが、ごく短期間で収束したので、戦況への影響は短期的にはあまりないだろう。

 ロシア軍が反乱への対応のために動員したのは国内を担当する旧内務省系の部隊で、ウクライナ侵攻で主力となる部隊は用いなかった。ワグネル側も総兵力だという「2万5000人」の一部を割いたにすぎず、前線の兵力配置にほとんど変化はなかったとみられる。

 一連の事態でプーチン大統領の権力基盤が揺らいだことは確かだ。「決断できないだらしないリーダー」という認識が広まれば、戦争継続が難しくなる事態に直面しかねない。ただ、そうした観点からも、反乱が長引いた場合に比べて今回の影響は限定的だ。

 しかし、プリゴジン氏がこのまま諦めるかは分からない。

 今回の蜂起の発端となったのは、ショイグ国防相が今月10日、全ての志願兵に国防省と契約するよう命じたことだ。ワグネルも管理下に収めようという狙いがあったが、プリゴジン氏は反発していた。

 ワグネルの撤収にあたり、プリゴジン氏とプーチン氏の間で何らかの取引があったと思われる。だが、プリゴジン氏が当初要求していたショイグ氏の解任も実現しておらず、その中身は不明だ。プリゴジン氏は、一旦は妥協したのだとしても、今後こうした密約が果たされないことがあれば、同様の事態を繰り返すかもしれない。【聞き手・五十嵐朋子】

国民の目には「弱い指導者」と映る可能性も

畔蒜泰助・笹川平和財団主任研究員の話

  今回のワグネルの反乱を巡っては、プリゴジン氏が進軍をやめて事態を沈静化させる代わりに、ベラルーシへの出国と刑事免責が保証された。本格的な軍事衝突に発展していれば、ウクライナでの戦争も含めてロシアへの影響は極めて大きかったため、プーチン政権にとってはひとまず最悪の状況は回避されたと言える。

 反乱の発端は、国防省が最近、ワグネルに対して傘下に入るよう圧力を強め、プリゴジン氏が不満を抱いてきた経緯とされる。こうした中でプリゴジン氏は反乱という形で政権に条件闘争を挑み、その結果、今後もワグネルを手中に維持できる余地が残り、自身は刑事訴追を免れるなど一定の勝利を収めたことになる。

 こうした一連の事態をロシア国民はどう受け止めるかが注目される。あからさまな反乱行為に対し、プーチン政権は取引という形で収束させた。これを機にプーチン氏の求心力がすぐに危機的な状況に陥るとは思わないが、反旗を翻した人物との取引は国民の目には「弱い指導者」と映る可能性もある。今後の政権支持率の推移などを注視していく必要がある。

 反乱では、ワグネルは南部ロストフ州の軍司令部を簡単に占拠し、モスクワまで約200キロの地点まで進軍できた。部隊の移動は非常に早く、ロシア軍に阻止する余力が残っていないのか、軍内部にワグネルに対する理解者がいるのか不明だが、背景は気になる。こうした点もロシアの今後を探る上で一つのカギになるだろう。【聞き手・松本紫帆】

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