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ワグネル創設者が「正義の行進」宣言 ロシア軍と武力衝突の可能性


 ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジン氏は23日、通信アプリ「テレグラム」で、ウクライナ侵攻に加わるワグネル部隊の拠点がロシア軍の攻撃を受けたと批判し、「正義の行進」を行うと宣言した。24日には部隊をロシア南部ロストフ州入りさせたと表明。タス通信によると、連邦保安庁(FSB)は23日、プリゴジン氏が「武装反乱を呼びかけた」として捜査を開始した。

 ワグネルはウクライナ侵攻の前線に部隊を送っているが、プリゴジン氏は侵攻戦略をめぐってショイグ露国防相を激しく非難し、ロシア内部での対立が先鋭化していた。報道によると、FSBはワグネルの兵士にプリゴジン氏の拘束を呼びかけ、モスクワの警備体制が強化されているが、ロシア軍とワグネル部隊の武力衝突に発展する可能性も出てきた。

 プリゴジン氏は24日の投稿で、部隊がウクライナ国境に近いロストフ州に入ったと明らかにした。ロイター通信などによると、ロシア軍に対して「徹底的にやる準備はできている」と述べた。また、ワグネルの兵士を妨害するために配置されたロシア軍兵士が道を譲ったと主張。「我々の部隊はあらゆる場所で国境を越えている」とした上で「邪魔するものはすべて破壊する」と警告した。

 タス通信などによると、モスクワ市内では24日、警備体制が強化された。ロストフ州のゴルベフ知事も同日、住民に中心部に近づかないよう呼びかけた。ペスコフ大統領報道官によると、プーチン大統領もプリゴジン氏の発言を含む現在の状況について説明を受けており、ペスコフ氏は「必要な措置が取られる」と語った。ただし、プリゴジン氏はプーチン氏に対する直接的な批判はしていない。武装反乱の扇動の罪は禁錮12年から20年が科される可能性がある。

 プリゴジン氏は23日、ロシア軍の攻撃で多数の兵士が死亡したと主張。ロシア国防相は「事実ではない」と否定する声明を発表した。プリゴジン氏は「この残虐行為にどう対応するか決める。次は我々の番だ」と述べ、「我々の若者を破壊した者は罰せられる」と訴えた。さらに「我々には2万5000人(の兵士)がいる。なぜこの国に混迷が生じているのかを明らかにする」と強調していた。

 プリゴジン氏はこれまでも国防省を非難している。今月11日には国防省が全ての志願兵に対し月内に同省と契約を結ぶよう命じたことを受け、「ショイグ(露国防相)は軍を適切に管理できていない」と語り、ワグネルは命令を拒否すると表明。23日の投稿では、ロシアがウクライナに対し「特別軍事作戦」を始めた理由について「ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)とともに攻めてくるというストーリーを国防省がでっち上げ、国民や大統領をあざむいた」と主張した。【金子淳(カイロ)、松岡大地】

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