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「生きるか死ぬか」タイタニック号見学 経験者語る深海旅行の緊張感


 北大西洋で沈没したタイタニック号の見学ツアー中に潜水艇「タイタン」が消息を絶った事故は、乗船していた5人全員が死亡したとみられ、大規模な捜索活動は最悪の結果となった。5人の「深海旅行」は、どのようなものだったのか。約18年前に海底のタイタニック号を見学したという大学非常勤講師の後藤昌代さん(62)は、「1秒を長く感じ、張り詰めた緊張感がありました」と話す。

 東京とオーストラリアを拠点に世界中を旅し、深海旅行の経験がある後藤さんは「タイタニック号を目にした時は感動しました」と、当時を振り返る。そして、「危険な旅ということを十分に理解していました」と話す。

 2005年7月、カナダのニューファンドランド島を船で出発し、約1日半かけてタイタニック号の沈没地点に移動。ここから潜水艇に操縦士らと共に乗り込み、海底を目指した。

 潜水艇は3人乗りで三つある窓から海中が確認できた。さまざまな計器やモニターが並び、立ち上がったり足を伸ばしたりするスペースはなかったという。

 らせん状に回転しながらゆっくりと潜航。海面から差し込む光は、水深100メートルを過ぎたあたりから届かなくなり、周囲は暗闇に包まれた。

 後藤さんは、当時の心境を「操縦士と整備士に命を託していました。生きるか死ぬか。鋭い緊張感があり、1秒を長く感じたことを覚えています」と語る。

サンドイッチや水は誰も手を付けず

 潜航開始から約2時間後、タイタニック号が沈む海底約3800メートルに到着。潜水艇が照らすライトの先に、巨大な船首が浮かび上がった。約5時間かけて船員室や操舵(そうだ)室、スクリューなどを見て回った。ツアーではサンドイッチや水などが用意されていたものの、緊張感もあり誰も手を付けなかったという。

 海上の船との通信が途切れることはなく、潜水艇内のモニターでも船の位置を常に確認できる状態だった。間隔を取って、別の潜水艇も潜航しており、緊急時には助け合う仕組みが整っていたという。

 タイタンを運航する米オーシャン・ゲート社は「5人は死亡したとみられる」との声明を出した。

 後藤さんは「何があったか分かりませんが、潜水艇が破壊されたなら悲惨です。残念で仕方がありません」と話した。【金森崇之】

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