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ドイツ右派政党「AfD」の支持率、再び急上昇 一部世論調査で2位


 ドイツの排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率が再び急上昇し、独政界に衝撃が広がっている。一部の世論調査では、ショルツ首相の中道左派与党「社会民主党」と並ぶ2位に浮上した。ロシアの侵攻を受けるウクライナからの避難民が急増していることが背景にある。

 独公共放送ARDが1日に公表した世論調査では、中道右派野党連合「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」の支持率が29%とトップで、2位はAfDと社民党が18%で並んだ。2021年の前回総選挙で得票率が10・3%だったAfDにとって、メルケル前首相(首相在任時はCDU所属)が難民問題で苦境に立たされた18年9月以来の高支持率となった。その後の各種調査でも、AfDの支持率は軒並み上がっている。

 ARDの調査によると、AfDを支持する理由について67%が「他の政党に失望した」と回答し、積極的な支持は32%にとどまった。AfDを選んだ人が重要と考える政策のトップは「移民・難民政策」(65%)で、「エネルギー政策、環境・気候政策」(47%)が続いた。

 こうした結果を受け、AfDのワイデル共同党首は「既存政党によるいかなる政治キャンペーンも、私たちを政治的議論から遠ざけることはできない。我々は新たな選挙の実施を求める」とコメントした。

 ウクライナ侵攻が始まった22年には、他国からドイツに逃れてきた人は126万人に上り、うち100万人超がウクライナからの避難民だった。シリアやアフガニスタンなどからの難民申請者も急増傾向にあり、各自治体では宿泊施設や語学学校の不足が深刻化している。

 西南部バーデン・ビュルテンベルク州のクレッチマン州首相は、シリア難民らが欧州に流入した15年の「難民危機」の水準を上回っていると指摘し、「困難な状況を再び覚悟しなければならない」と警鐘を鳴らした。こうした状況が、反移民政策を掲げるAfDへの支持が高まっている主因とみられる。

政権支持率の急落も影響

 ショルツ政権の支持率の急落も影響しているようだ。

 政府は4月、来年1月以降に新設する暖房機器にはガスや灯油を使うことを原則禁止し、65%以上は再生可能エネルギーを使用するよう義務付ける法案を閣議で承認した。

 エネルギー効率が良い「ヒートポンプ」式暖房への切り替えを進める狙いがあるが、高額な設置コストを警戒する国民が反発。連立与党内でも意見が分かれ、政府は事実上の移行期間を設ける修正案を議会に提出せざるを得なかった。

 この暖房法案を巡る騒動などにより、2月に53%だったショルツ政権の支持率は6月には41%に低下。法案を主導した連立与党「緑の党」のハベック経済・気候保護相の支持率も過去最低の23%に落ち込んだ。

 ショルツ首相はAfDの躍進について、欧州で支持を伸ばす右派ポピュリズム政党に触れ、「大きく変動する時代の中で将来に確信を持てない市民が、過去を賛美する政党に共感している」との見方を示した。

専門家「世論調査による『恐喝』」

 一方、他の野党ではなくAfDが政府批判の受け皿になっている理由について、マインツ大のユルゲン・ファルター教授(政治学)は「極右的な主張をするAfDへの支持が、他党を最も怖がらせ、最大の成果を上げる抗議手段だと有権者が知っているからだ」と指摘する。有権者が選挙で実際にAfDに投票するかは別だとした上で、「これは(政府に対する)世論調査による『恐喝』の一種だ」と見る。

 ファルター氏はまた、難民流入が再びドイツで政治問題化した要因を、昨年から今年初旬にかけてドイツへの難民申請希望が急増したことで「既にドイツに来ていたイスラム圏出身の難民の社会への統合がうまく進んでいない現状に人々が目を向けるようになった」と分析する。難民を巡る課題はメルケル前政権時代から続いており、当時の政策決定に関わったCDUは支持されにくいと説明した。【ベルリン念佛明奈】

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