スウェーデンの北大西洋条約機構（NATO）加盟を巡り、トルコのエルドアン大統領は14日、スウェーデンが、トルコと敵対する非合法組織「クルド労働者党」（PKK）関係者によるデモ活動を国内で認めている限り、加盟を承認しないとの考えを示した。トルコはこれまで、承認の条件としてスウェーデンにPKK関係者の送還を求めてきたが、新たな要求を突きつけた形だ。
トルコメディアによると、エルドアン氏は14日、記者団に「（スウェーデンでは）テロリストが路上でデモを実施している」と指摘。状況が改善されない場合、7月に開かれるNATO首脳会議で、スウェーデンの加盟に「前向きな対応は取れない」と述べた。
スウェーデンのNATO加盟を巡り、トルコはこれまで、スウェーデンに滞在するPKK関係者への厳格な対応を求めてきた。そのため、スウェーデンは今月から、PKKを含むテロ組織への参加を禁止する「反テロ法」を施行。だが、PKK関係者によるデモは「表現の自由」の観点から規制していない。今月4日には首都ストックホルムで、数百人がPKKの旗を掲げてデモ行進し、NATOへの加盟反対などを訴えていた。
一方、トルコの首都アンカラでは14日、トルコとスウェーデン、フィンランド、NATOによる高官級協議が開かれた。トルコ大統領府によると、4者は課題解決に向けた協議を継続することで一致したという。ロイター通信によると、スウェーデン政府高官は、会議でスウェーデンはトルコの要求を満たしていると説明したが、「トルコはより多くの回答を求めてきた」と明かした。
スウェーデンのNATO加盟には全加盟国の承認が必要だが、トルコとハンガリーが承認を保留している。【エルサレム三木幸治】
