starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「遅刻した仲間許すには?」教職員が他校へ一日留学 研修の狙い


 増加する若い教職員の教育力の向上などを目指し、福岡県小郡市教委は、市立小中学校の教職員向けに新しく「一日留学体験研修」を始めた。教職員は全市立小中学校(計13校)の中から研修先を選べ、優れた指導技術などを学ぶ。さまざまな教科や学年を参観でき、従来の研修より選択肢が広がる。

 初めての研修が1日に市立立石小であり、市内の小中学校から教員6人が参加した。授業は4年生の道徳で、教材「ちこく」が取り上げられた。サッカーの試合に遅刻してきたチームメートを理由も聞かずに非難した子どもが、遅刻の理由を聞き、寂しそうな様子に後悔の気持ちが膨らむ――という話だ。

 担任の小柳一也教諭(35)は「みんなだったら許す気持ち、許せない気持ち、どれくらいかな。図で表してみてください」と児童たちに問いかけた。児童は各自のタブレット端末で回答し、内容は許す気持ち(赤)と許せない気持ち(青)で色分けされた図で示されて、全員分が共有された。小柳教諭が回答を基に理由を質問すると、多様な意見が出た。研修に参加した教員はこのように展開していく授業を見学した。

 授業後は参観した教員や小柳教諭らがより良い授業のために意見を交わし、グループに分かれて授業で意見を深めるための質問などを話して発表した。また授業で使った道徳の教材「ちこく」の執筆者で、福岡教育大非常勤講師の青木晃司さん(道徳教育)が、教材のポイントを説明したり、授業に助言したりした。

 研修に参加した教員からは「どのように授業を組み立てればいいか考えることができた。青木さんの話が本当に勉強になった」という感想や、タブレット端末で児童に考えを尋ねて回答を共有する方法などについて「自分の学校でも伝えたい」などの声があった。小柳教諭も「授業を見てもらって意見をいただきありがたい。授業の改善につながる」と話した。

 今年度の研修には若手から管理職まで計約80人が参加を申し込んでいて、来年2月までに計20回以上実施する計画だ。また幼稚園や保育所と小学校の連携のため、研修先に市立幼稚園も加え、幼稚園や保育所の教諭や保育士らも小学校での研修に参加する。

 青木さんは研修について「他校の先生と一緒に学ぶことは価値がある。学びが他校にも広がり、市全体の子どもたちにとって意味がある」と述べた。

 市教委によると、全国で1980年代に数多く採用された教職員が近年、定年退職期を迎え、市内でも若い教職員が増えてベテランが減り、指導技術などを学ぶニーズが高まっているという。市立小中学校の教職員の年齢層は、2014年度には20、30代が25%で40代以上が75%だったが、23年度には20、30代が46%で40代以上が53%になった。

 そこで今年度、授業づくりや子どもへの関わり方、教育への考え方などを学校の枠を越えて学び合う機会を充実させようと、全校参加の研修を導入した。授業参観後には教職員で対話する時間も設け、魅力ある学校づくりにつなげたい考えだ。【高芝菜穂子】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.