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コロナワクチン未接種の消防職員隔離 滋賀・湖南市長「対応に問題」


 滋賀県の甲賀広域行政組合消防本部(甲賀市)が2021年、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けなかった30代の職員に対し、「接種拒否者」として廊下脇で業務をさせていた問題で、同組合管理者の生田邦夫・湖南市長が5日、定例記者会見で「見せしめ的なことはしてはならない。対応がまずかったことはあると思う」などと述べ、対応には問題があったとの認識を示した。一方で、今月にも始める再検証の具体的な手法については明言を避けた。

 同組合は同市と甲賀市で構成し、20年11月から生田市長が管理者を務めている。

 会見で生田市長は、職員が消防本部の取り扱いに耐えかねて退職したことを念頭に「本人に負担を掛け、実害を与えてしまった。辞めざるを得なかったというのは重い。組織としての責任の取り方も含めてきちんと対応したい」と述べた。

 医師で医療法人の理事長でもある生田市長は、消防本部が職員を接種拒否者として業務区別することを記した文書を全職員に回覧した点に「医療現場でも未接種者の特定につながる文書は出していない。もし事前に知っていたら『出すのはやめておけ』と言った」と話した。

 ただ措置の妥当性について、問題を再検証する委員会の結果を待って結論を出すと説明。22年12月の内部検証で「問題はなかった」と結論付けていることから、「今まで以上に調査や聞き取りをする」と述べたが、手法については「検討する」として明言を避けた。

<視点>第三者の公平な再検証を

 甲賀広域行政組合消防本部が新型コロナワクチンを接種しなかった職員を隔離した問題。組合トップの生田邦夫氏は対応に問題があったとの認識を示しつつ、再検証のあり方には明言しなかった。事案の本質を探るには第三者による公平な検証が不可欠だと感じる。

 問題を巡り、消防本部幹部や顧問弁護士らによる22年の内部検証は「対応に問題はなかった」とした。消防本部は再検証に第三者を入れる方針を示したものの、想定する委員7人のうち内部検証をしたメンバーが5人を占める。この5人は職員の隔離という対応に関わった当事者たちだ。メンバーを一新し、独立した第三者委員会で調査すべきだろう。

 取材では、複数の職員や元職員が「見せしめだと思った」などと明かし、「ハラスメントが横行していて声を上げづらい」と訴えた。再検証で当事者の元職員はもちろん、周囲の職員の話も聞く必要があるのではないか。

 5月にハラスメント行為で消防長ら5人が懲戒処分された高島市では、消防ではなく市が全職員にアンケートを実施。3割以上の36人が被害を訴え、内部の実情が明らかになった。今回のケースでもアンケート調査をすべきだ。再検証を機に消防本部の体質そのものも明らかにしていく必要がある。【村瀬優子】

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