南シナ海で中国軍機が米軍機に妨害飛行 機首正面を横切る

　米インド太平洋軍は30日、南シナ海上空の国際空域で現地時間26日に中国軍の戦闘機が米空軍の電子偵察機RC135に接近して機首の正面を横切る妨害行為を行ったと発表した。声明で「不必要に攻撃的な飛行」と批判した。

　インド太平洋軍によると、RC135は通常の任務で飛行していた。南シナ海では中国軍機による挑発行為が相次いでいる。昨年12月には米空軍機に約3メートルまで異常接近し、米空軍機は衝突回避措置を取った。インド太平洋軍は「すべての国が国際法に従って安全に国際空域を使用することを期待する」と強調した。

　米中関係は今年2月に米国が領空に侵入した中国の偵察気球を撃墜したことなどが影響して悪化した。緊急事態に備えた国防当局間のホットラインも機能停止状態に陥っている。

　バイデン政権は関係改善を模索しており、シンガポールで6月2～4日に開かれるアジア安全保障会議に合わせ、オースティン国防長官と中国の李尚福国務委員兼国防相との会談を打診した。しかし、米国防総省は29日、中国側が拒否したと明らかにしている。【ワシントン鈴木一生】