ロシアのプーチン大統領は28日、再選を果たしたトルコのエルドアン大統領に対して「トルコ首脳としての、あなたの無私の仕事ぶりを反映した結果だ」と祝福する声明を発した。露国営メディアが報じた。プーチン氏は長年にわたり、エルドアン氏と盟友関係を築き、ウクライナ情勢でも協力を得てきたことから、再選に安堵（あんど）している様子だ。
露大統領府が発表したプーチン氏の声明では、エルドアン氏の再選を「独立した外交を展開してきたあなたの努力を人々が支持したことの明白な表れだ」と指摘。ロシアが建設を主導するトルコ初の原発や、ガスパイプライン網の拡充など経済案件も取り上げ、協力の維持に意欲を示した。
ロシアは2014年以降、ウクライナ情勢を巡って欧米諸国との関係を冷却化させる中、北大西洋条約機構（NATO）に加盟するトルコとは友好関係を維持してきた。ロシアが22年にウクライナでの「特別軍事作戦」を始めた後も、トルコが対露制裁を科してこなかった点を評価している模様だ。エルドアン政権は、ウクライナ産の穀物を黒海経由で輸送する枠組みでは、国連と共にロシアとウクライナの調整役を担ってきた。
今回のトルコ大統領選では、野党候補クルチダルオール氏がロシアによる虚偽情報拡散の疑いを取り上げたこともあり、ロシアとしては当初からエルドアン氏の再選を望んでいたとみられる。【モスクワ大前仁】
