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マルシェ成功のカギは「“よそ者”の力」 にぎわう仙台の商店街


 全国あちこちで開催されている「〇〇マルシェ」。広場や駅前などで食べ物や雑貨を売る市場スタイルの催しだが、人気のイベントにはどんな仕掛けがあるのだろうか。仙台市内の小さな商店街のマルシェが評判を呼んでいると聞き、成功のヒントを探った。【土江洋範】

 仙台駅から地下鉄で3駅の河原町駅。地上に出ると、目の前に「河原町商店街」が広がる。5月14日の母の日、この半径200メートル内に収まるコンパクトな街が約1000人の来客であふれた。商店街振興組合が2022年4月から月1回の定期開催を始めた「河原町マルシェ」だ。

 商店街の各店舗がいつも通り営業する中、通り沿いや広場にキッチンカーやテントなど約30の出店が並ぶ。内容は食べ物や雑貨販売といったオーソドックスなものだが、常連客に魅力を聞いて回ると一様に「飽きない」と口をそろえた。

 どういうことか。組合のマルシェ実行委員会によると、出店のほとんどを商店街の外から招いている。そうすることで、毎月テーマごとに顔ぶれを変えられるのだという。

 例えば、この日のテーマは「母とカレー市」。スパイスの利いた本格派から家庭の味までバラエティーに富んだカレー店を集めた。「はな・花・だんご市」だった前回の4月は、行列のできる有名菓子店に参加してもらったところ、すぐに完売する盛況ぶりだったという。

 「内輪でやっていても発展がないですから」。地元の老舗すし店を営むマルシェ実行委員長の高橋理武(みちたけ)さん(41)はそう語る。河原町商店街は市中心部と新興開発地域に挟まれた場所に位置し、「知名度不足」が悩みだ。イベントを打っても、まず足を運んでもらわないことには意味がない。外部の店を呼び水にすれば、その固定客らを地元の店舗にも呼び込める――。そんな好循環を狙ったという。

 とはいえ、日々の経営に追われる自分たちだけで毎月マルシェを準備するのは難しい。そこで、各地でイベントを手掛ける一般社団法人「SC.FIELD」(仙台市)の力を借りることにした。同法人で企画を担う大坂裕子さん(50)によると、出店者を一般募集ではなく自らリサーチしてスカウトすることで、イベントの質を保っているという。

 ただ、あくまで「マルシェの目的は河原町の魅力を知ってもらうことです」と大坂さん。出店者を選ぶ際は、地元店となるべくジャンルが重ならないよう配慮を欠かさない。商店街にある店の名前と場所を知ってもらうためスタンプラリーも毎回行っており、スタンプを集めたら回せる「ガラガラ抽選器」は子供たちに大人気だ。

 商店街にはマルシェ以外の日も訪れてくれる人が増え始め、今春には空き物件に新しい店舗も入った。

 「“よそ者”の新しい力をうまく取り入れる」――。高橋さんが取材中に口にしたこの言葉が、まちづくり成功の一つのカギになるのだろう。

 河原町商店街は仙台市若林区河原町1にあり、マルシェは4~12月の第2日曜(8月のみ第1日曜)、午前10時~午後4時に開催される。

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