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公立校教員の長時間労働 是正に向け「給特法の廃止を」専門家ら提言


 現役教員や専門家らで作る「給特法のこれからを考える有志の会」は26日、公立校教員の長時間労働の是正に向けた提言を公表した。文部科学省や自民党が検討を進める改善案とは大きく異なる内容で、教員に給料月額の4%の「教職調整額」を支払う代わりに残業代を出さないことを定める教員給与特別措置法(給特法)の廃止などを求めた。

 自民党が10日にまとめた提言では、給特法を維持した上で「調整額」を10%以上に引き上げ、管理職や主任の手当を新設する処遇改善策を打ち出した。また、永岡桂子文科相は22日に中央教育審議会に教員の処遇改善策の検討を諮問し、来春をめどに調整額の引き上げなどを含めて一定の方向性が示される方針だ。給特法の廃止には踏み込まない方向で議論が進むとみられる。

 有志の会はこうした動きに対し、「定額働かせ放題」と批判され、長時間労働の要因である給特法の問題などが解決しないと指摘。所定勤務時間(7時間45分)内で終わらないことを前提とした業務は禁止▽残業に相当する対価を教員に支払う▽自宅への「持ち帰り仕事」を勤務時間とみなす▽休憩時間がとれなかったり、国の指針で残業時間の上限とされる「月45時間」を超えて働いたりした責任は管理職や教育委員会にあることを明確化する――ことなどを提言で求めた。

 東京都内での記者会見にはメンバーらが出席。立教大の中原淳教授(人材開発・組織開発)は「調整額の引き上げは、給料が上がるのだから『もっと働け』というメッセージになりかねず、長時間労働の対策にならない。教員を目指す学生の後押しにもならない」と述べた。また、自民党提言には将来的な平均残業時間を月約20時間に減らすことも盛り込まれたが、岐阜県立高校教員の西村祐二さん(44)は「管理職が一番嫌がるのは『責任』の2文字。20時間を超えたら残業代が発生し、責任が問われるようになるのなら劇的な変化が起きる」と指摘した。

 会見には、2014年に福井県若狭町立中学校教諭だった長男友生さん(当時27歳)を過労自殺で亡くした嶋田富士男さん(63)も出席。「息子の自殺も校長の責任だけでなく、給特法という制度が背景にあったことを知ってもらいたい。夢を持って教員になった人が子供の近くにいられて、相談にも乗ってあげられるような職場環境にしてもらいたい」と要望した。【深津誠】

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