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各地の学校でインフル集団感染 季節外れ?専門家は「想定内」


 全国各地の学校で、季節性インフルエンザの集団感染が相次いでいる。大分県や宮崎県では5月に数百人規模の感染が確認された。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、8日に「5類」に移行したことで感染対策が緩んだことが一因とみられるが、専門家はコロナ下で免疫力が低下したことも背景にあると指摘する。

 「インフルエンザの火種が残っているとは認識していたが、短期間であれだけ発生するとは……」。宮崎市保健所の担当者は、市内の私立高校で起きた集団感染を驚きをもって受け止めた。

 この高校では9日に生徒1人の感染が確認され、11日には30人に広がった。学校側は症状のある生徒を早退させるなどの対策をした上で、週末に体育祭を開催。週明け以降も感染は拡大し、休校期間中(15~22日)の16日には職員を含む感染者は491人に上った。近年はインフルエンザの集団感染は確認されておらず、生徒たちが密集する場面があった体育祭が拡大の要因とみられる。

 他の自治体でも学校での集団感染が起きている。大分市内の私立高校では16日、全校生徒約2000人のうち約500人が発熱などの症状を訴えた。この高校でも9日の体育祭に全校生徒が参加していた。東京都調布市内の小学校では104人の感染が確認された。

 厚生労働省が把握しているだけでも、今年の20週目になる15~21日に全国の小中高校など15施設で休校、308施設で学年・学級閉鎖の措置が取られた。ただ感染状況は地域で異なり、福岡市医師会の平田泰彦会長(70)によると、小児科を中心に市内で感染者の報告はあるが規模は小さいといい「感染は局地的なものではないか」と話す。【塩月由香、平川昌範】

「免疫力の低下」も拡大要因に

 厚生労働省によると15~21日に全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は9275人。新型コロナウイルス禍前の同時期(20週目)と比べても多い。医療機関1カ所当たりの患者数は1・89人で、5月に「流行」の目安となる1人を超えたのは2019年以来だ。都道府県別では、新潟5・92人▽山形5・63人▽群馬4・54人▽宮崎4・53人――などの順に多くなっている。

 「季節外れ」に見える流行だが、感染症に詳しい久留米大の溝口充志教授(免疫学)は「想定していた」と話す。要因の一つは、新型コロナの「5類」移行で、子どもたちにマスクの着用や、給食などでの「黙食」を求めなくなるなど対策が緩和されたことだ。さらに運動会など全校行事が通常開催されるケースが増えたことも感染リスクを高めていると指摘する。

 「免疫力の低下」も要因に挙げる。もともと冬季以外でもインフルエンザの感染は珍しくなかった。しかし約3年半に及んだ新型コロナ禍でマスク着用などの対策が強化された結果、ウイルスに接するほど強くなる免疫力がインフルエンザについても徐々に低下し、発症者が多くなったとみられるという。

 溝口教授は「過剰な感染対策を取れば、免疫力が低いままになる。免疫力を徐々に高めるためにも、感染対策は適度なものにとどめるべきだ」とし、休校や学級閉鎖など感染者数に応じた対応が妥当との見方を示した。その上で「高齢者など重症化リスクの高い人については、マスク着用など自らを守る対策を取ることが望ましい」と話した。【平川昌範】

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