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「毛がない」生き物を都内で発見 正体はあの野生動物だった


 体の一部にだけ毛があり、皮膚は硬そうで灰色に近い。ネコほどの大きさに細長いしっぽ――。5月1日午前、記者は東京都練馬区で見かけた生き物に驚いた。不気味に思えたが、取材を進めると、ある身近な野生動物が病気にかかった姿だと分かった。なぜこんな姿になったのか。

 区役所に電話をかけると、担当者は思いがけない野生動物の名前を挙げた。

 「ああ、それは皮膚病のタヌキではないでしょうか」

 アナグマやタヌキの生態に詳しい東京農工大の金子弥生准教授(野生動物保護学)に写真を確認してもらうと、重度の「疥癬(かいせん)」にかかったタヌキとみられるという。疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生し、激しいかゆみや脱毛の症状が出る病気だ。

 金子准教授によると、原因のダニは自然界で古くから哺乳類と共存してきたはずだが、1980年代ごろには全国各地で重度の皮膚病になるタヌキが確認されるようになった。専門家による90年代の調査では、疥癬のタヌキには免疫機能の著しい低下が認められた。環境汚染や人間の食べ物の摂取など、人為的要因も考えられたが原因の特定に至っていない。

 では、疥癬のタヌキを見かけたらどうしたらいいのか。「素手で触らないこと。接触や餌付けはやめましょう」と金子准教授。弱って見えても抱き上げようとしてはいけない。野生動物はペットとは違い、人間が近づけば全力で抵抗し、かみつくかもしれない。

 人間やペットにダニが移る可能性はゼロではないようだ。ただ、近づきすぎず、距離をとっていれば過度に恐れる必要はない。鳥獣保護法で無許可での捕獲は禁じられており、庭に居着くなど対応に困れば、行政に相談するのがよいという。つまり、原則は見守ることだ。

 病気にかかったり、けがをしたりした野生動物を保護する「傷病鳥獣救護」は、都道府県によって対応が異なっている。

 東京都では、タヌキは救護の対象外。弱って動けないタヌキが確保された場合や、死んでいる場合は、感染防止のために回収する。回収実績は年間70~100頭で推移している。

【山田奈緒】

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