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「バイデン氏の心に刺さった」 被爆者が見た波乱のサミット


 多くの首脳たちによる原爆犠牲者への慰霊や、戦時下のリーダーの電撃的な来訪……。21日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)は日々めまぐるしい動きがあり、被爆地・広島にとっても前例のない場となった。波乱の3日間は、被爆者の目にはどのように映ったのか。

 「戦争の危機が高まっている今だからこそ、世界のトップが被爆地に集まったことは良かった。広島の場を提供したことは無意味ではなかったと思う」。世界各地で体験を証言する被爆者の田中稔子さん(84)=広島市東区=は前向きに受け止める。

 サミット初日の19日から3日間、テレビ出演やメディアの取材対応に追われた。その合間にテレビ局のモニターで、首脳が19日に平和記念公園で原爆犠牲者を慰霊する様子を見守った。

 田中さんの目を引いたのは、原爆資料館の視察を終えて、館外に現れたバイデン米大統領。「沈痛な面持ちだった。館内での視察を通じて原爆の実相を身近に感じ、心に刺さったように思えた。被爆者の感覚として、バイデン氏の人間的な一面を垣間見た気がした」と語る。

 田中さんは6歳の時に爆心地から約2・3キロの自宅近くで被爆。腕や頭などにやけどを負い、高熱のため数日間、意識を失ったものの、一命を取り留めた。

 当初は海外で通訳を介して日本語で証言をしていた。より感情をストレートに伝えたいと、英語を学び、2015年から英語で証言するようになった。

 数少ない英語での語り部として、これまで80カ国以上で証言や交流を重ねてきた。訪問先には、米仏のG7の核保有国に加え、戦火を交える前のロシアやウクライナも含まれる。サミットに向けた事前視察のため、フランスやイタリアから訪れた国会議員らにも体験を語った。

戦争終結に踏み出す土台になった

 サミットでは、同じく英語で体験を証言する小倉桂子さん(85)=広島市中区=が首脳たちに相次いで面会して被爆体験を語った。田中さんは「通訳を通して体験を話すと、時間差が生じてしまう。直接英語で証言すると、感情がじかに伝わり、話が核心に近づくにつれ、聞いている側も静まり返る。小倉さんも、首脳たちと、人間的に分かり合えたと感じたのではないか」と推し量る。

 急きょサミットに対面出席したウクライナのゼレンスキー大統領が21日の記者会見で、広島と重ね合わせて復興への決意を語った。「終戦につなげたいと考えているのではと希望を持った。広島で見たことが、戦争終結に踏み出す土台になったと確信している」ととらえる。

 今後に向け、「核保有国が核兵器禁止条約にサインをする日がくれば、私は証言をやめる。広島での体験をきっかけに、首脳たちの心が動いてくれたらいい」と願った。【根本佳奈】

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