ウクライナのゼレンスキー大統領が主要7カ国首脳会議（G7サミット）に出席するため広島を訪問するとの一報を受け、日本国内に避難しているウクライナ人たちからは「世界へのアピールになる」などと期待する声が上がった。
南部ミコライウ出身で、ロシア侵攻開始後の2022年5月に日本に避難したマクシム・ハイチェンコさん（18）＝東京都＝はスマートフォンのニュースアプリで来日を知り「驚いた。力のある国（の首脳たち）と一度に会えるいい機会になる」と声を弾ませた。
現在、千葉県松戸市の語学学校で日本語を学びながら都内の企業でアルバイトをしている。「オンラインと違い、顔を合わせて話すことで、世界に強いアピールができるのではないか」と期待を込め「日本の若い人たちにウクライナについてもっと考えてもらうきっかけになることを望みます」と語った。
22年8月に首都キーウ（キエフ）から娘2人と避難した福岡県太宰府市の日本経済大教員、カテリーナ・クラベッツさん（43）は、ゼレンスキー大統領が来日するとのニュースに「驚きよりもうれしい気持ち」と歓迎した。戦闘の収束が見えない中、大学でウクライナ人学生を支援しており「大統領がG7サミットに出席する首脳らに戦況を伝えたり、支援を求めたりすることは大切なこと」と話した。
ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせたことに触れ「広島は世界で最初に原爆が落とされた場所。ロシアに核を使用させないために、広島から強いメッセージを発信してほしい」と期待した。
20年に仕事のため来日し、東京都新宿区に住んでいるITエンジニア、イビ・ヤバンジさん（26）は「ゼレンスキー大統領はウクライナ人にとって真のリーダー」と語る。母親は約9カ月前に日本へ避難したが、父と弟は今もキーウに残っており、「ウクライナへの世界からのサポートを信じている。そして、戦争が一日も早く終わることを望んでいる」と訴えた。
出入国在留管理庁によると、ウクライナから日本に避難してきた人たちは5月17日現在の速報値で2434人に上る。【千脇康平、竹林静、朝比奈由佳】
