政府と川崎重工業は19日、主要7カ国首脳会議（G7サミット）に合わせ、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の見学会を広島市内で開いた。クリーンエネルギーとして期待される水素分野で、日本の技術をアピールした。
水素は、燃やしても二酸化炭素（CO2）を出さない。オーストラリアなどでは製造過程で出るCO2も回収し環境負荷を和らげた水素が製造でき、クリーンなエネルギーとして期待されている。
ただ、石油や液化天然ガス（LNG）などと比べ体積が大きく輸送するには極めて低い温度で液化（気体の800分の1）する必要があり、安全に運搬するには高い技術力が必要とされる。
同船は経済産業省などの支援で川重が開発。全長116メートル、幅19メートルで、船体中央に液化水素タンク（1250立方メートル）を備える。タンクの外壁を二重にして間を真空にすることで、マイナス253度の低温を維持しながら長期間の航海を可能にした。
同船はこれまで、オーストラリアから液化水素を運ぶ実証実験に成功している。資源エネルギー庁幹部は「技術的なハードルは高いが、液化水素は非常に使い勝手が良い。水素社会が目前にせまっていることを肌で感じてほしい」と話した。【遠藤修平】
