ジャニーズ事務所の前社長、ジャニー喜多川氏（2019年死去）による性加害疑惑で、元ジャニーズJr.の男性2人が16日、国会内で開かれた立憲民主党の会合に出席した。俳優でダンサーの橋田康さん（37）は「13歳ごろ、2回ほど性的被害に遭った」と新たに証言した。
橋田さんは1998年、同事務所に入所。被害について「僕にとっては大きなことだった」と振り返った。4月に記者会見を開いて被害を訴えた歌手、カウアン・オカモトさん（26）も出席。オカモトさんは入所した12年から退所する16年まで、喜多川氏の自宅や滞在先のホテルなどで15～20回の性加害があったと明かした。「当時、被害を周りに言ってももみ消され、法律で守ってもらえる立場にないと思っていた」と話した。
同事務所の藤島ジュリー景子社長が14日に公開した謝罪動画と文書について、橋田さんは「長く沈黙していたトップが、動画で頭を下げたのは衝撃だった。（問題解決の）第一歩が始まったと感じた」とした。オカモトさんは藤島社長と2時間ほど面会したといい、「彼女の申し訳ないという気持ちが伝わってきた。代表として表に出ていただいたことに感謝している」と理解を示した。
少年への性加害が社会問題としてクローズアップされる中、橋田さんは「13、14歳の子が被害に遭わず、エンターテインメントの世界を真っすぐ走れるようにするのが大人のできることだと思う」と強調。「（ジャニーズ事務所は）何かあったとしても目をつぶるという今のエンターテインメント業界を表していると思う」とも指摘した。
また、同じく元ジャニーズJr.で、「文芸春秋」電子版で同様の被害を訴えている二本樹顕理（にほんぎあきまさ）さんのメッセージが読み上げられた。「96年、中学1年のときにオーディションを受け活動を開始し、半年間で10回以上の性加害を受けた。事務所を辞めた後もトラウマとなり、自尊心が破壊された。抵抗できなかった自分は何をやってもだめなんだという気持ちになった。私のような被害者を生まない仕組みを作ってほしい」とした。
同事務所は「ヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きい」などとして、第三者委員会を設置しない方針を示している。橋田さんは「第三者が介入することで、冷静に見られる部分はたくさんある」として設置を求めた。オカモトさんは「子どもが自分の意思で（加害行為を）防ぐのは難しい。法律を作ることが大事だ」として法整備の必要性を強調した。【諸隈美紗稀、大沢瑞季】
