starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

看護学院のパワハラ自殺、北海道が遺族に謝罪 母「許していない」


 北海道立江差高等看護学院(江差町)の男子学生(当時22歳)が2019年9月に自殺した問題で、道は15日、教員3人によるパワーハラスメントが自殺につながったとして、男子学生の母親に直接、謝罪した。記者会見した母親は涙で声をつまらせながら「先生を許す気にはなっていない」と息子を失った悲しみと悔しさをにじませた。【真貝恒平】

 「複数の教員によるハラスメントが確認された事実につきまして、心よりおわび申し上げます」。札幌市内のホテルで、道の岡本収司・地域医療推進局長は男子学生の母親を前に深々と頭を下げた。

 「亡くなった原因がパワハラであったことが認められ、感謝しかない」。その後の記者会見で母親は思いを語った。この日、家を出る前、男子学生の写真に「一段落つくね」と語りかけて、手を合わせたという。

 道の第三者委員会は今年3月、教員による授業中の侮蔑的な暴言や威圧的な行為、男子学生がリポート提出の期限に1分遅れただけで受け取らず、留年させたことなどをパワハラと認定。行為を行った管理職を含む3人の教員による4件のパワハラが自殺に影響したと結論づけた。

 男子学生は幼少のころに喘息(ぜんそく)を患い、入退院を繰り返した。その際に看護師に優しく接してもらったことがきっかけで看護の道を志したという。母親は「息子は弱かったんでしょうか。対応が早ければ、息子は亡くならないですんだかもしれない。人生を狂わせられる子どもを今後、出さないでほしい」と声を震わせた。

 道によると、教員3人のうち2人は問題の行為を認め、謝罪の申し出もあるという。岡本局長は「地域医療・介護を担う人材育成の場であってはならないことで、道の責任は重い」と述べた。道は3人のうち現職2人についての懲戒処分、さらに謝罪の方法などを検討している。

 道立高看のパワハラ問題は、被害を受けたとされる学生や保護者からの相談を端緒に道が21年5月に第三者委を設置して調査を開始。21年10月に江差町と紋別市にある両学院で15~20年度にパワハラが延べ53件あり、加害教員が計11人いたと認定した。道は22年3月、退職済みの1人を除く10人の教員を懲戒処分とした。

 一方、当時の調査は、本人などの相談に基づいていたため、自殺した学生が対象に含まれていなかった。このため、男子学生の遺族の代理人が22年5月、道に調査を申し入れ、道が新たな第三者委を設置して調査を進めてきた。

 代理人の植松直弁護士=函館弁護士会=は第三者委の調査書について「遺書がなく調査が難航する中、氷山の一角であるが、闇に葬り去られることなく、ハラスメントと自死の因果関係を認め、教員が学生をふるい落とすような教育方針を取っていたとする結果は納得できる」とし、「教員3人による謝罪や賠償の問題(の解決)は今後になる」と語った。

パワハラ問題を巡る経緯

2021年 3月 道が学生や教職員に聞き取り調査

      4月 道による保護者説明会

      5月 道が第三者委員会を設置

     10月 第三者委が江差高看と紋別高看でパワハラ延べ52件、教員11人の関与を認定

  22年 2月 第三者委が高看でのパワハラ1件を追加、調査を終了

      3月 道が江差高看の副学院長と教員9人を懲戒処分

      5月 19年に自殺した男子学生の遺族によるパワハラ調査要請文書を道が受理

     10月 新たな第三者委が設置され、調査を開始

  23年 3月 第三者委が男子学生へのパワハラ4件と教員3人の関与を認定。自殺にも影響したとする調査結果をまとめる

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.