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6月から電気料金値上げ 家計負担や負担軽減策はどうなる?


 大手電力7社の家庭向け規制料金が、6月1日から標準的な家庭で14~42%値上がりする。政府の負担軽減策などを加味すると、値上げ申請前に比べ料金水準が低くなる電力会社もあるというが、家計負担は実際どうなるのか。政府の負担軽減策はいつまで続くのか。

 経済産業省の試算によると、例えば東京電力エナジーパートナーは、値上げ申請前の標準的な家庭(30アンペア・月あたり400キロワット時)の電気料金が月1万4444円だったのに対し、東電側は当初4014円の値上げを申請。経産省の査定の結果、申請時より1936円圧縮された月1万6522円になる見込みだ。

 申請前に比べ2078円値上がりする計算だが、1月使用分から適用されている政府の負担軽減策(激変緩和措置)などを考慮すると、6月使用分(7月請求分)の実質負担額は1万2190円となり、ロシアによるウクライナ侵攻前の2022年2月使用分よりも低水準の料金になるという。

 政府は昨年末に成立させた約29兆円の22年度第2次補正予算で、9月までの激変緩和措置に計2兆4870億円を計上した。これにより8月使用分まで標準的な家庭で月2800円分、9月使用分は半額の1400円分が軽減される。

 ただ、10月以降も措置が延長されるかは「何も決まっていない」(経産省の担当者)状況だ。経産省によると、23年度当初予算には10月以降の経費は含まれておらず、「延長する場合には(23年度)補正予算の編成が避けられない」(政府関係者)という。

 市場関係者からは「ロシアからの天然ガスの供給が減る一方、中国経済の回復などで需要は増えており、電気料金の高止まりは当面続く」との見方が大勢となっている。

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「(財政出動によって)電気料金を抑えることには意味がある」と述べ、負担軽減策として一定の効果があると評価する。ただ「措置を中止する時には必ず批判を受けるので、やめる時のルールを決めておかないと、いつまでもずるずると続けることになってしまう」と財政負担の増大を懸念する。

 大和証券の末広徹チーフエコノミストも「国民の電気料金を財政で一律に引き下げる政策は、見方を変えれば国民全員に現金を給付することと変わらない。もし延長するなら、所得制限を設けてセーフティーネットが必要な層だけを対象にするなど、政策の費用対効果を考えた議論が必要だ」と指摘する。

 一方、「対症療法だけでは限界」との指摘もある。

 みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「円安や資源価格の高騰による上昇分は、電力会社や消費者、政府のいずれかが負担しなければならないが、痛み分けを続けるだけでは日本経済のマイナス面だけが広がっていく」と財政頼みの風潮を憂慮する。代替エネルギーの開発でエネルギー自給率を上げるなど「マクロ経済全体を見据えた『根治療法』をしなければ解決とはならない」と述べ、エネルギー構造の転換の必要性を強調した。【佐久間一輝、袴田貴行】

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