シャーマン米国務副長官が退任へ ブリンケン長官が発表

　ブリンケン米国務長官は12日、シャーマン国務副長官が退任すると声明で発表した。退任時期については触れていない。米紙ニューヨーク・タイムズは6月30日で退任すると報じている。ブリンケン氏は「インド太平洋地域での米国の関与を主導し、特に韓国や日本、欧州連合（EU）と米国との絆を深めた」とたたえた。

　シャーマン氏は2021年4月に女性として初めて、国務省ナンバー2の国務副長官に就任。バイデン政権が「唯一の競争相手」と位置づける中国への対応で中心的な役割を担った。同7月にはバイデン政権の外交当局高官として初めて訪中し、王毅国務委員兼外相（当時）と会談している。

　22年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻への対応でも尽力した。侵攻前はロシア側と協議を重ねて緊張緩和を図り、侵攻後はウクライナ支援で欧米やアジアの同盟国・友好国の結束を促した。

　シャーマン氏は、オバマ政権で国務次官（政治担当）を務め、イラン核合意の交渉を主導した。クリントン政権では北朝鮮政策調整官を務め、核・ミサイル開発を進める北朝鮮と交渉。00年のオルブライト国務長官（当時）の訪朝に同行した。【ワシントン鈴木一生】