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能登地震、震源が徐々に北へ 地下の流体が移動か 活断層に影響も


 石川県能登地方で最大震度6強=マグニチュード(M)6・5=を観測した地震から12日で1週間。能登ではその後も群発地震が相次ぐが、震源は徐々に北側の海域に広がってきている。この海域には、M7級の地震を起こすとされる海底活断層があり、専門家は今回の地震との関係について引き続き詳しく調べる方針だ。

 気象庁によると、能登半島で地震活動が活発化し始めた2020年12月ごろから、震度1以上を観測した地震は11日までに400回を超えた。震度6強(M6・5)が起きた5月5日以降では90回を超え、再び活発化している。

 当初は半島先端の南側が震源域の中心だったが、時計回りに範囲が移動。現在は今回の地震を含めて半島先端の北東部が中心だ。政府の地震調査委員会は6日の臨時会で、活動域はこれまでよりもさらに北側の海域に広がっていると評価した。

 要因として考えられるのが、この群発地震を誘発している地下の水などの流体が、北側へ移動していることだ。流体が地盤を押したり、断層面に入り込んですべりやすくしたりして起きているとみられる。

 兵庫県立大の後藤忠徳教授(地球物理学)は21年11月から半年間、能登半島先端部の地下構造を調査し、南側に流体がより豊富に存在することを見つけた。後藤さんは「南側の流体が地下の高温高圧の影響を受けて、水をあまり含んでいない北側の岩盤に浸入して圧迫することで地震を起こしているのではないか」と推測する。

 京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)は地殻変動などを観測して流体の動きや量を推定した。それによると、活動が活発化してからの2年半で約3000万立方メートルもの流体が蓄積され、南側から北側へと広がっているとみられる。

 注目されるのが、流体の移動と、海底活断層との関係だ。

 今回のM6・5の地震は、地盤が水平方向に圧縮されて上下にずれる「逆断層型」だ。

 能登半島の北側の沿岸には、1729年の能登・佐渡地震(M6・6~7)や2007年の能登半島地震(M6・9)などを引き起こした複数の海底活断層がある。いずれも逆断層だが、地震調査委による長期評価の対象ではなく、詳しい活動性はわかっていない。

 この地域で観測を続ける金沢大の平松良浩教授(地震学)は、「この活断層の一部に水などの流体が入り込んでずれ動いた場合には、今回の地震よりも大きな規模の地震が起こる可能性がある」と指摘。後藤さんも「このまま北に水が移動し続ければ、いずれは北方の活断層に到達してしまうのではないか」と危惧する。

 一方、西村さんは、すでに流体が海底活断層の一部に到達し、M6・5の地震が起きたとみている。地震規模が大きいことや、この地震の断層面が海底活断層と平行に走り、構造がほぼ一致することが理由だ。

 流体が北側に移動した結果、もともとひずみをためていた海底活断層の一部に入り込み、すべりやすくなったことで動いた可能性があるという。「今回、広い意味で海底活断層帯の一部がずれ動いたと考えられる」と話す。その上で「M7級の地震の想定震源域の半分は今回の地震で破壊されたとみられ、今後起きる地震は最大でも今回と同規模だろう」と推定する。

 地震調査委員長の平田直・東京大名誉教授は6日の臨時会後の記者会見で「今回の地震と海底活断層に関係があるかは、断定的なことは言えない。活断層以外にも、能登半島には地震が起きやすい構造はたくさんあり、M6・5の地震のようなことが今後起きても不思議ではない」と話し、引き続き警戒を呼びかけた。【垂水友里香、露木陽介、山口智】

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