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空の上でもスニーカー 客室乗務員「もうパンプスには戻れない」


 航空会社の客室乗務員がスニーカーを履いて乗務する動きが広がっている。日本航空グループの「ZIPAIR(ジップエア)」は2020年10月の就航時から制服の靴として着用。ANAホールディングスの国際線で24年2月の就航を目指す新ブランド「Air Japan(エアージャパン)」も制服にスニーカーを選べるようにする予定だ。香港や韓国でも一部の航空会社がスニーカーを取り入れ始めており、空の上でも多様性を尊重する取り組みが進んでいる。

 「動きやすく、踏ん張れて安定感がある。デザインも制服に合っていておしゃれ。もうパンプスには戻れない」――。

 成田空港を拠点にするジップエアの客室乗務員、上地真紀子さん(32)はこう話す。スニーカーの採用は「機内で立ちっぱなしで、地上旅客係員もしゃがんだり走ったりする。靴をスニーカーにするのも選択肢」という、制服のデザイナーからの提案がきっかけだった。

 客室乗務員は機内でよく歩き、清掃や備品管理、座席上部の棚への手荷物収納など作業する場面が多い。上地さんは乗務のたびに足の疲れにくさを実感する。以前は別の航空会社で高さ3~5センチのヒール付きのパンプスを履き、「乗務を終えると足が痛くなり、むくみもあって、帰宅してからいつもマッサージ器を使っていた」。海外の空港で外国の航空会社の客室乗務員からも「スニーカーはいいね」と何度も声を掛けられたという。

 同社は今年2月、スニーカーを履きこなす著名人を表彰する「スニーカーベストドレッサー賞」の特別賞を受賞した。主催する「ウェルネスウェンズデー協会」(東京都新宿区)は「業務中の疲労感の軽減策を取るなどニューノーマルなワークスタイルを追求している」と授賞の理由を説明する。同社は客室乗務員や地上旅客係員が履くスニーカー(1足2万2000円)のオンライン販売も行っている。

 これに続いたのはエアージャパンだ。3月に東京・渋谷で開かれた制服の発表会。「足元にご注目ください。ANAグループとして初めてスニーカーを制服用の靴として導入します」と紹介すると、客室乗務員の男女6人がいずれも黒のスニーカーやパンプス、革靴を強調しながらステージを歩いて見せた。

 客室乗務員の意見を聞いたところ、やはりスニーカーを希望する声が多かった。一方で、人によってはスニーカーでは負担は軽減されないという声もあったといい、基本ルールを「黒い靴」と決め、スニーカーやパンプス、革靴など自分に合う靴を選べるようにした。

 こうした動きは海外の航空会社にも広がる。格安航空会社(LCC)の香港エクスプレスは23年1月に制服を新しくしたのに合わせ、革靴かスニーカーを選べるようにした。同社は「快適さと動きやすさを重視している。より快適にお客様にサービスを提供するための選択肢としてスニーカーを採用した」と説明した。韓国のLCCの「エアロK」も22年から取り入れ、ホームページには「さまざまな職務をより適切に遂行するために着用」と記載している。

 一方、長年、客室乗務員にヒール付きのパンプスを履くことを求めてきた国内の大手航空会社も、変わってきている。職場でのパンプス着用の強制に反対する19年の「#KuToo」の運動を機に、日航は20年4月に新しい制服を導入したのに合わせ、靴の規定を変更。ヒールの高さを従来の客室乗務員は3~4センチから0~4センチに、地上旅客係員は3~6センチから0~6センチとし、デザインによってローファーなども可能とした。全日本空輸も同5月から、高さ3~5センチ程度のヒールのパンプスから、高さ5センチ程度以下とし、下限をなくしている。【中村宰和】

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