パキスタン前首相逮捕、汚職関与の疑い 政治情勢不安定化の恐れ

　パキスタン当局は9日、汚職事件に関与した疑いでイムラン・カーン前首相を逮捕した。現地メディアが報じた。カーン氏は昨年4月に議会で不信任決議を可決されて失職し、その後、複数の汚職事件に関与したとして当局が捜査を進めていた。カーン氏が率いる野党パキスタン正義運動（PTI）は支持者に抗議を呼びかけており、政治情勢が不安定化する恐れがある。

　地元メディアによると、カーン氏を逮捕したのは汚職などを捜査する国家説明責任局（NAB）で、今月1日付で逮捕令状が発行されていたという。サナウラ内相は「国庫に損失を与えたため」としている。カーン氏は9日、別件の審理で首都イスラマバードの法廷に出廷していたところ、当局に連行された。

　カーン氏は現地の国民的スポーツ、クリケットの元スター選手だ。失職後も人気を集め、支持者を率いて政府に早期の総選挙を求める抗議デモを実施。シャリフ政権はその動向に神経をとがらせていた。これまでもカーン氏の拘束を懸念する支持者のデモが繰り広げられており、混乱が広がる可能性がある。【バンコク川上珠実】