韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は9日、就任から10日で1年となるのを前に国務会議（閣議）を開いた。尹氏は7日の日韓首脳会談で、岸田文雄首相が徴用工問題で「心が痛む」と発言したことを紹介。「暗い過去の歴史に背を向けず、誠実に対応すれば、両国は直面した困難を克服し、新しい未来を切り開くことができる」と強調した。
東京電力福島第1原発事故で生じた処理水の海洋放出に向けた韓国の現地視察団派遣や、19～21日に広島で開催される主要7カ国首脳会議（G7サミット）で、広島の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者の慰霊碑を岸田氏と共に参拝することで合意したことを例示。「ほんの少し前までは想像もできなかったことが、今、韓日間で行われている。自由民主主義の価値を共有する両国が、互いに交流・協力しながら信頼を築いていけば、関係が過去に最も良かった時代を超えて、新しい未来を切り開くことができる」と述べた。
日韓首脳会談については「経済や産業、科学、文化、人的交流など幅広い分野にわたる両国の協力策を深く話し合った」と説明。そのうえで「各省庁は、協力事項をきちんと進めて、国民が恩恵を直接・間接的に体感できるようにしてほしい」と述べ、関係改善の成果を早期に具体化するよう指示した。
G7サミットに合わせて開催される日米韓首脳会談にも言及。核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮などを念頭に「韓米日の安保協力を通じて、域内平和を構築するための連帯をより強固にしていくことができる」と強調した。【ソウル坂口裕彦】
