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視界が揺れ、身動きとれず…能登旅行中の記者が遭遇した震度6強


 石川県珠洲(すず)市で震度6強を記録した5日の能登地震。発生当時、私(記者)は休日を利用して妻と能登半島の最先端、震源地に近い禄剛崎(ろっこうざき)(同市狼煙町)付近を訪れていた。偶然の大地震に見舞われ、現地取材に転じた当日の行動をリポートする。

 能登半島の先端まで行こうと、大型連休中の訪問先に選んだ禄剛崎。近くにある道の駅「狼煙」付近に登り口がある。現地入りし、「まずは食事を取ろう」と妻と近くの飲食店に入った。靴を脱いで小上がりに座り、注文をして程なく、唐突に激しい揺れに襲われた。視界が揺れ、全く身動きがとれない。あちこちで食器などが割れる音が聞こえた。揺れが収まった瞬間、隣席の若い女性が泣き始めた。「外に出よう」。慌てて店外に出た。

「山が揺れた」 津波は大丈夫か?

 現場は海のすぐそばだ。津波は大丈夫なのか? 発生直後、安否を気遣う義姉から妻に連絡があり、津波の心配がないことを知って少しだけほっとした。路上には太く長い亀裂がいくつも走っていた。商品の酒類が割れたのだろうか、道の駅の建物からは酒のにおいが漂う。見回すと、近くの民家の屋根の瓦が崩れていた。

 職場には事前に珠洲に行くことを伝えていたので、同僚や上司に無事を報告。妻の安全を確保したうえで、災害発生直後の様子を収めようとカメラを出し、周囲を歩いた。

 千葉県から家族で訪れていた40代男性会社員は「山が揺れていた。木々が当たる音、地面が揺れる音がすさまじかった」と振り返り、付近の飲食店の女性は被害状況を確認しながら「1年前の地震よりひどい」とおののいた。

声を掛け合い、素早く対応

 発生直後に印象的だったのが、地域の人たちの対応の早さだった。互いに声を掛け合いなからテキパキと動き始めた。店舗のスタッフらしき人は、呆然とする観光客たちに「いつ道が通れなくなるかわからない。早めに移動を」と呼び掛けた。私と妻も珠洲市中心部に戻ることにした。

 地震の影響だろう。運転中に往路よりも段差を感じる場所があった。須須(すず)神社付近まで来ると、鳥居が倒れて一部が車道にはみ出していた。発生から1時間もたっていなかったが、既に周囲はコーン標識で囲われ、注意喚起が行われていた。

 妻を安全な場所に届けた後、できる範囲で取材を続けた。時折、余震とみられる揺れがあってひやりとする。家屋があちこちで倒壊しており、被害の大きさに驚いた。

 禄剛崎近くで地震に襲われたとき、その揺れの強さはあまりにもすさまじく、最初は何が起きているのか理解できなかった。ただ机にしがみつくしかなく、恐ろしかった。この感覚は記者として決して忘れてはいけないものだと思う。

 一方で、地域の人々が互いに声を掛け合いながら被害を確認したり、片付けをしたりする姿が印象深く、いかに人々のつながりが心強いものなのかも実感させられた。現地では2022年6月にも震度6弱の地震があったばかり。それから丸1年も経過していない中で再び大きな地震発生となったが、地域の絆が早い復興につながると信じている。【深尾昭寛】

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