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車なし人手なし 高齢化率5割の珠洲で片付け難航 石川・能登地震


 石川県能登地方が最大震度6強の揺れに見舞われてから3日目。被害の大きかった珠洲(すず)市では7日、雨の中で片付けに追われるお年寄りたちから「早く災害ごみを回収したり、集積場を準備したりしてほしい」と切実な声が上がった。また、コミュニティーの中心の寺も被災している。

 珠洲市正院(しょういん)町地区ではこの日、朝から県職員ら応急危険度判定士が建物を観察し、損壊の度合いに応じて赤色の「危険」や黄色の「要注意」などの紙を玄関に貼って回った。

 妻と2人暮らしの西村貞範さん(81)の築50年の自宅は窓などが壊れたものの「要注意」にとどまった。しかし「水道管が壊れてトイレも風呂も使えない」。ブロック塀はすべて隣家側に倒れ「1人では動かせない。免許を返納して車もない。どこに持っていけばいいのか」と途方に暮れる。珠洲市の高齢化率(5月1日現在)は51・42%に達し、西村さんと同様に車を手放したお年寄りも多いという。

 夫を亡くして1人暮らしの垣内咲子さん(81)宅も「要注意」に。「大量の割れた食器や壊れた家具をどこに捨てるか。運ぶ手段もないので、今は家の中や外に積んでおくしかない」。8月には夫の三回忌があるが、遺影の額のガラスも割れてしまった。「早く買い替えてあげたいが、お店が遠い。まだ行けない」とため息をついた。

 珠洲市宝立(ほうりゅう)町にある浄土真宗の妙厳(みょうごん)寺。5日午後の最初の大揺れ直後、21代目住職の武内亨さん(57)が近くの和菓子店から急いで寺に戻ると、本堂の15枚以上ある扉が倒れて「土ぼこりがひどく、しばらく中を見られなかった」。

 本堂は土壁がはがれたり、柱から突き出た飾りの木鼻(きばな)が落ちたりした。余震の危険を考えて参拝者の立ち入りは禁止している。石川県は「真宗王国」と称されるほど浄土真宗の信仰があついが、7月に予定している宗祖親鸞の遺徳をしのぶ法要は実施できるか不透明だという。

 2022年6月の最大震度6弱の地震でも本堂の土台が沈み込むなど苦難が続く。亨さんの弟で副住職の現(あきら)さん(47)は「門徒の方は皆、寺に安心を求め、寺は門徒さんの思いで建っている。諦めず、よりどころでありたい」ときっぱり語った。【野原寛史、川地隆史】

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