イエレン米財務長官は1日、連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げがなければ、早ければ6月1日にも政府が資金繰りに行き詰まるとの見通しを示した。米国債がデフォルト（債務不履行）に陥れば、世界の金融市場が大混乱に陥るのは避けられない。イエレン氏は「議会が一刻も早く行動を起こし、米国の信用を守るよう要請する」との書簡をマッカーシー下院議長（共和党）らに送った。
一方、米メディアによると、バイデン米大統領はイエレン氏が書簡を送った後、マッカーシー氏ら与野党の議会指導者に電話し、9日にホワイトハウスで債務上限問題を巡り協議する意向を伝えた。
現在の債務上限額は31・4兆ドル（約4300兆円）で今年1月に上限に達した。政府は公的年金基金への投資を停止するなどしてしのいでいるが、議会が債務上限を引き上げなければ政府の財政資金は枯渇する。
共和党が多数派を握る米議会下院は4月26日、歳出削減とセットで債務上限を1・5兆ドル引き上げる法案を賛成多数で可決した。だが、法案にはバイデン政権の掲げる学生ローン免除の撤回などが含まれており、無条件での引き上げを求めるバイデン氏は拒否する考えを示している。【ワシントン大久保渉】
