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知床にもGW、観光船「安全第一」 初日は高波、全便欠航


 世界遺産の北海道・知床は例年、雪解けが進むゴールデンウイークあたりから観光シーズンに入り、小型観光船も営業を始める。だが2022年は「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故が4月23日に発生し、カズワンと同じウトロ漁港(斜里町)を拠点にする小型観光船事業者は6月中旬まで運航を自粛した。今年も連休に合わせて初運航をする予定だったが、29日は高波で全便欠航となった。

 29日は午前8時時点で航路の波高が2メートルと、運航基準(1メートル)を上回った。このため、ウトロ漁港を拠点にする知床小型観光船協議会の4社は、無料通信アプリ「LINE」でやり取りした上で、運航の見送りを決めた。

 カズワンの運航会社「知床遊覧船」もかつて加入していた協議会の神尾昇勝(のりかつ)会長(46)は「この時期の知床の天候は不安定。無理なく安心して運航できるような判断をしたい」と話す。神尾会長が勤務する「ゴジラ岩観光」は午後2時半の出航予定の船に18人の予約があったが、欠航を伝えた。「残念がっていたが、理解してくれた」と言う。

 女性2人旅の北海道観光で知床に立ち寄った東京都の丸山千潤(ちひろ)さん(46)は「観光船に乗りたかったけれど、昨年の事故のイメージがあって波の高い海に恐怖も感じた」と話す。知床のファンで10年前に来たときは小型観光船に乗った。今回は予約を見送ったが「安全情報をたくさん発信してくれると安心感がある。また来たいので、その時は乗船します」と話した。

 小型観光船の事業者はこの1年、知床で二度と悲劇を起こさないよう対策に力を入れてきた。事故から1年となる23日、斜里町で開かれた追悼式会場で、神尾会長は乗客の家族らに陳謝した上で「新たに自主ルールを定め、安全運航の指針を作成した。同業者間で見守る管理体制を構築している」と語った。

 協議会はカズワンの事故後、運航判断は必ず複数社で協議して判断が分かれた際は欠航▽原則、単独運航を禁止としてタイムスケジュールを管理▽運航期間の制限▽安全設備の統一や連絡体制の強化――などの対策を掲げている。

 神尾会長は「あの事故は知床に非常に大きな影響を与えた。安全運航を重ねる中でしか、信頼回復はない」と語る。今年の大型連休の予約状況は「非常に良くない」という。

 打撃を受けたのは、知床の観光全体も同じだ。知床斜里町観光協会によると、22年4~10月の斜里町内の宿泊者数は19万2000人で、新型コロナウイルス禍前の19年同時期の34万3000人と比べ、大幅に少なかった。

 協会の新村武志事務局長(56)は「昨年はコロナ禍が落ち着きを見せ始め、観光需要の回復を期待したが、事故の影響で伸び悩んだ。ただ、徐々に回復し始めている」と言う。

 一方、別の観光関係者によると、今年の大型連休の斜里町全体の宿泊予約数はコロナ禍前の8割にとどまるという。「例年、知床ではゴールデンウイークは部屋が取れないのが普通だった。空き部屋がある時点で、まだ事故の影響は残っていると言えるだろう」と話した。【山田豊、本多竹志】

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