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非行少年の被害に向き合う 熊本大教授が本出版 明かした自身の過去


 熊本大学法学部の岡田行雄教授(54)が編著した「非行少年の被害に向き合おう!」(現代人文社)が出版された。刑事法の専門家として少年事件の厳罰化に異を唱え続ける岡田教授は、原点となる自身の非行経験を初めて明かし「非行少年には非行より前に自分への被害があることを知ってほしい」と話す。【一宮俊介】

 犯罪白書によると、2021年に少年院にいた少年の約半数が身体的・性的などの虐待を受けていたとされ、非行少年の多くが加害者として事件を起こす前に被害に遭っている実情がある。

 本書は少年が非行に走るまでの過程に着目。弁護士や中学校教師、家庭裁判所の元調査官ら専門家が、これまで出会った困難を抱えるさまざまな少年を紹介し「被害者としての非行少年」の実態を浮き彫りにしている。2020年8月に福岡市の商業施設で面識のない女性を殺害した15歳少年も取り上げられている。

 岡田教授は非行少年の立ち直りを重視した論文や著書を執筆してきたが、今回、少年法の研究を始めるきっかけとなった出来事を初めてカミングアウトした。

 小学3年から学校の同級生に殴られたり蹴られたりするいじめを受け始め、逃げ場となったのがゲームセンターだった。月500円の小遣いでは足りず、親の財布から金を抜き取るように。見つかって怒られてもやめなかった。

 転機は中学3年。担任の先生の後押しもあって勉強に真面目に取り組むと成績が一気に伸びた。周りの目が変わりいじめがなくなった。友だちもできて学校が楽しくなると、自然と非行をしなくなったという。

 「私の研究は処罰されたからといって人は犯罪をやめるのかという疑問から始まった。親の金を抜く行為をなぜやめられたのかを当時は言語化できなかったが、今はゲームセンター以外の居場所ができたからだと説明できる」

 家庭での虐待や学校でのいじめなど、子ども時代に受ける被害は外部から見えにくい。本人もうまく言葉にできないことがあり、事件になって初めて明らかになることも珍しくない。岡田教授は研究の傍ら始めた少年事件の付添人として関わる中で家庭環境や成育歴が複雑な子どもが多いことを肌で実感した。

 岡田教授は最近、講演などでも自身の過去を打ち明けている。「非行少年に対する被害の埋め合わせがなされないままになっていることを多くの人に知ってほしい」と話している。

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