岸田文雄首相は29日、エジプトなどアフリカ4カ国とシンガポールを歴訪するため、政府専用機で羽田空港を出発した。5月に広島で開催する主要7カ国首脳会議（G7サミット）を前に、新興国・途上国を中心とする「グローバルサウス」の国々の首脳と会談し、ウクライナ侵攻を続けるロシアや覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、「法の支配に基づく国際秩序」の重要性を訴える。
アフリカ訪問は、首相就任後初となる。エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビーク、シンガポールを訪れ、5月5日に帰国する予定だ。
首相は出発に先立ち、羽田空港で記者団に「ロシアによるウクライナ侵略で国際秩序の根幹が揺らぐ中で、アフリカの主要国の首脳とウクライナ情勢や国際的な課題について意見交換を行い連携を確認したい」と訪問の意義を強調。「その結果をG7広島サミットの議論の充実にもつなげていきたい」と意欲を語った。
一方、正規軍と準軍事組織の衝突が続くスーダンから周辺国のジブチに退避した邦人ら48人が、29日朝に帰国したことについては「大変危険かつ不安定な状況の中、希望された全員が無事帰国できたことについて、安堵（あんど）するとともに大変お疲れ様でしたと申し上げたい」と語った。アフリカ歴訪でも「スーダン情勢について関係国と議論し、安定化に向けての協力についても協議をしていきたい」と述べた。【今野悠貴】
