パナソニックのヘアドライヤーの広告表示が不正確だとして、家電大手ダイソンが不正競争防止法に基づきパナソニックに広告の差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、請求を棄却した。ダイソン側は独自実験を基に「イオンを発生させて髪を潤わせる『ナノイー技術』に関するパナソニックの広告表示は、消費者に誤解を与える」と主張したが、杉浦正樹裁判長は実験の信用性を否定した。
訴状などによると、パナソニックのヘアドライヤーは2021年9月に発売されたヒット商品で、価格は約3万円。同社は「水分発生量従来の18倍」「高浸透ナノイーで髪へのうるおい1・9倍」などと宣伝している。
ダイソンは東洋大の「バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター」の特任准教授に実験を依頼。「水分発生量は最大でも1・36倍」とする結果を得たとして、22年6月に提訴した。しかし、判決は「ダイソンの実験は広告表示の検証、確認実験といえるものではない」と結論付けた。
判決を受け、パナソニックは「当社の主張が認められた。長年の研究開発を通じて、技術に裏付けされた高機能な製品を開発してきたと自負している」とコメントした。ダイソンは「裁判所の決定は大変遺憾」として控訴する意向を示した。【遠藤浩二】