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藤井聡太は「AIになった」 8冠はある?青野照市九段に聞く名人戦


 静岡市の浮月楼で27日に始まった渡辺明名人(39)と藤井聡太王将(20)の第81期名人戦七番勝負第2局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)。2人の対戦成績は、開幕戦を制した藤井王将の17勝3敗で、大きな差がある。第2局の立会を務める青野照市九段(70)=静岡県焼津市出身=は「最近の藤井対渡辺戦は人間対人間の戦いという感じがしない。藤井さんがAI(人工知能)で(戦術などを)調べてきたのではなく、AIの考え方を会得して、藤井さん自身がAIになったのではという気がしてならない」と感想を述べ、「人間なら、体調が悪くなったり精神的に迷いが出たりすると強い人でも落ち込む時があるが、落ち込む時がない気がするくらいの勝ちっぷりだ」と感嘆する。

 藤井王将の将棋について青野九段は「AIが全て正しいわけではない」と前置きしたうえで、「(局面の優劣を数値化した)評価値が60%、70%になると、そこから逆転されずに勝ってしまう。他のトップ棋士では、80%まで行った後でも間違えて、いったん30%に落ち、その後また80%に戻って勝つような将棋も多い。藤井さんにはそれがほとんどないので、相手も『人間と指しているのだろうか』という疑心暗鬼に陥ることがある」と話す。

 さらに、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段の名前を挙げ、「強い棋士は将棋盤を挟むと威圧感を感じさせたが、藤井さんは相手に威圧感を与えない。藤井さんに負かされた棋士もそう言っている。でも、指しているうちに指し手に威圧されてしまう。パソコン自体には威圧感はないが、指し手に威圧されるのと同じような気がする」と、棋士の心理面にも言及した。

 負けると無冠になる渡辺名人にとって、名人戦は最後の砦(とりで)。開幕戦を落とした渡辺名人は、第2局も、角換わりでも相掛かりでもなく、「雁木(がんぎ)」含みの力戦に誘導した。「角換わりなどの激しい将棋はどちらかというと若い人の方が得意。渡辺名人は寝技的な将棋に持っていくと思ったが、予想通りの感じの対局になった。やや長期戦の形で、渡辺名人はここでしのごうとしている感じだ」と青野九段。その上で「名人はどんなことがあっても勝つつもりで来ているでしょうから、この一局に注目したい」と話す。

 一方、藤井王将は振り飛車党の菅井竜也八段(31)を挑戦者に迎えた叡王戦五番勝負も進行中(第2局まで終わって1勝1敗)で、6月には佐々木大地七段(27)を迎えての棋聖戦五番勝負が始まる。名人を奪取して7冠となり、この2棋戦も防衛すると、王位戦の防衛戦を挟み、「夢の8冠制覇」が目前に迫る。果たして最後に挑むタイトルは永瀬拓矢王座(30)との王座戦になるのか。

 青野九段は「藤井さんのことは、ちょっと言い過ぎ、書き過ぎても、その通りになってしまうのが恐ろしい。実際には、王座戦にしても、まだ本戦も始まっていないので、4勝しないと挑戦者になれず、簡単ではない。だが、今年中に全冠制覇もかなり可能性があると思う」と占った。【新土居仁昌、丸山進】

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