中部電力三重支店に勤務していた鈴木陽介さん(当時26歳)が自殺したのは上司の暴言などパワーハラスメントや過重業務が原因として、母親が労災を認めなかった津労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた訴訟で、名古屋高裁(長谷川恭弘裁判長)は25日、1審・名古屋地裁判決を破棄し、原告側の逆転勝訴を言い渡した。
1審・名古屋地裁判決によると、鈴木さんは2010年4月に入社し、三重支店に配属。顧客法人に対する技術サポートを担当していたが、精神障害を発症し同10月に自殺した。母親が13年に労災申請したが、津労基署は認定しなかった。
母親側は「おまえなんていらない」「こんなんで大卒か」との上司の発言で強い心理的負荷を受けたと主張したが、1審判決は裏付ける証拠がないと指摘し、業務と精神障害発症に因果関係はないと判断した。【藤顕一郎】