このコラムを始めて半年。今回は私のもう一つの顔――音楽についてのお話です。6月に2枚目のアルバム「PURSUE」を発売します。追求するという意味の英語のタイトルには、自分の表現である演技も歌も、もっと上を目指していくって思いを込めました。
音楽を始めたのは、地元・兵庫県神河町で小学6年だった時です。「楽器に触れるところがあるよ」って友だちに誘われて町のホールに行くと、通路にキーボード、ドラム、ギターといった楽器がありました。「子どもたちが自由に楽器に触れる機会を」と町の職員の方が自分のコレクションを展示して、自由に見たり触ったりできるようにしてくれていて、私はひときわギターに惹（ひ）かれました。
初めて生で見たギターを触ると、音が出る。自分で手にして弾けたらかっこいい！ そう思うとすぐ弾き始めました。音楽にのめり込む前にギターを弾きたい！という気持ちの方が先だったんです。目立ちたがり屋だったので、中学に入るとバンドを組んで地元のお祭りやイベントのステージに立ってました。
俳優になってからもいろいろなアーティストとコラボさせていただいて。今回のアルバムに収録した「この日々よ歌になれ」も、以前お仕事でご一緒したミュージシャンの柴田隆浩さんが「勝手ながら作りました」と送ってきてくれたんです。
元々は違う歌詞だったけれど、柴田さんから「人前に立ったり、創作したりする際、どんなスタンスで挑んでいるんですか」と聞かれて、「『腕が鳴るぜ』って思います」って答えたら、「それ、絶対歌詞にします」。本当に「いま始まる 腕が鳴るぜ」って言葉が歌詞に入って、アニメ映画「雄獅少年/ライオン少年」の主題歌になりました。逆境の中を進もうと頑張った20代の私の姿と重なる歌で、「負けずに前に進もう、楽しく生きていくぞ」って気持ちになれます。くじけそうになった時、この曲がエンジンふかしてくれる。“この日々よ歌になれ”って叫んでください！
のん
俳優、創作あーちすと。1993年生まれ。新曲「この日々よ歌になれ」はCGアニメーション映画「雄獅少年/ライオン少年」の日本語吹き替え版主題歌。
＝ウェブサイトでは原則、毎月第4火曜日に公開します。
