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筋ジストロフィー患う候補者、2度目の挑戦で初当選 千葉市議会


 9日に投開票された千葉市議選で、全身の筋肉が徐々に衰える難病「筋ジストロフィー」を患う渡辺惟大さん(36)が初当選した。電動車いすに乗って街頭に立ち、駅のバリアフリー化や子育て・教育環境の充実などを訴え、2度目の挑戦を実らせた。市によると、日常的に車いすを使う議員は初めて。渡辺さんは「多様な人が社会に参加しやすい千葉市を作っていく」と話す。

 「千葉市議会に新しい風を吹かせます」

 選挙戦最終日の8日朝。JR千葉駅前で、電動車いすに乗って懸命に訴える渡辺さんの姿があった。自らマイクを持つ握力がないため、演説中の約10分間、父富也さん(67)が横からマイクを差し出してサポートした。

 渡辺さんは生後間もなく筋ジストロフィーと診断され、小学校の途中から車いす生活となった。地元の中学、高校を経て、早稲田大に進学。同大大学院を修了後、2014年に障害者の訪問介護事業所を設立した。

 元々政治には興味があった。19年の千葉市議選の花見川区選挙区に無所属で立候補。ボランティアの助けもあって2155票を獲得したが、議席には手が届かなかった。

 再挑戦のきっかけは21年に開催された東京オリンピック・パラリンピックだった。競技会場となった同市美浜区のJR海浜幕張駅の周辺では、道路の傾斜の解消や歩道橋にエレベーターが設置されるなどバリアフリー化が急速に進んだ。「予算がないと言っていたのに、行政が本気になればここまでできるのか。この機運をもっと高めていきたい」。そう考え、もう一度チャレンジすることを決意した。日本維新の会が掲げる「身を切る改革」などに共感し、今度は中央区選挙区に維新公認で立候補することになった。

 選挙戦では障害者ならではのハンディキャップを何度も実感した。肺活量が小さく、マイクも握れないため、ヘッドマイクを付けて演説したが、雑踏では声がかき消された。障害者用のトイレが見つからず、遊説中に一時帰宅を余儀なくされることもあった。それでも若い人が街頭でチラシを受け取ってくれるなど、前回よりも手応えを感じた。定数11の10番目に滑り込んだ。

 5月から利用が始まる千葉市新庁舎の議場は、段差をなくしたり、車いすが通れるスペースを確保したりするなどバリアフリー構造を採用している。渡辺さんは「庁舎の使い方を含め、障害がある議員がいることでさらに理解は広がる。誰もがやりたいことにチャレンジできる社会にしたい」と話している。【山本佳孝】

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