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「裏切り者」今井瑠々氏、中傷の選挙戦 「仕事したい」貫き当確


 今年1月に立憲民主党から自民党に移籍し、岐阜県議選多治見市選挙区(定数2)に臨んだ無所属新人、今井瑠々氏(27)=自民推薦=が9日、初当選を確実にした。「もうやめよう」。県議選出馬を発表した直後から続いた誹謗(ひぼう)中傷を見かねた父は提案したが、娘が見せた強い決意に腹をくくったという。

 今井氏は全国最年少候補として2021年の衆院選岐阜5区に初挑戦した。出馬表明したのは被選挙権を得た25歳の誕生日当日だった。選挙では若さを前面に押し出し、政治の刷新を訴えた。敗れはしたが、当選した自民重鎮の古屋圭司衆院議員(70)に約1万4000票差まで肉薄し、全国的に注目を集めた。

 立憲の次世代ホープと期待され、落選後も国政進出を目指して活動した。ところが今年1月、自民への移籍と、自民推薦で県議選に立候補すると表明した。21年の衆院選で、大票田の多治見市の得票で古屋氏を約3400票上回るなど今井氏に脅威を覚えた古屋氏が味方に引き込んだとされる。

 県議選多治見市選挙区は直近3回の選挙がいずれも無投票で、自民と非自民が議席を分け合ってきた。

「まさに地獄」断念促した父

 今回も多治見市長選(16日告示)に出馬予定の自民系と旧民主系の地元県議の後継候補2人が無投票で議席を分け合うかに見られたが、今井氏の参戦で16年ぶりの選挙に突入した。

 「まさに地獄だった」。選挙戦を手伝ってきた今井氏の父隆治さん(52)は、今井氏が1月13日に出馬表明した以降の約半月をこう振り返る。

 SNSやインターネットニュースの書き込みには「裏切り者」などの批判が「万単位」で投稿された。選挙事務所には送り主不明の封筒が届き、中を見ると、大きな文字で「裏切り者」と書かれた紙が入っていた。「立憲時代に受け取った活動資金を返せ」という電話もあった。

 1月末。家に立ち寄った今井氏に対し、隆治さんは「(選挙に出るのは)もうやめよう」と切り出した。すると、娘からは意外な答えが返ってきた。

 「お父さん、何言ってるの。世間では『裏切り者』と言われているけれど、仕事がしたくて(自民に)移った。ここで出馬をやめたら私のことを本当に信じている市民を裏切ることになる」

 娘の引き締まった表情を見た父は「娘の本気さを見せつけられた。応援しないわけにはいかないな」と腹を決めた。

「立場を超えて、地域を変えたい」

 「党が変わっても私自身は何も変わっていない。自民党だからとか、他の党だからとか、そういうことではなく、立場を超えて皆さんと一つになり、この地域を皆さんと変えていきたい」。選挙戦で今井氏は訴えた。

 演説中、今井氏が聴衆から「裏切り者。多治見の恥さらし」とやじられたことがある。演説終了後、心配そうな父に向かって娘は「そう言われても私には成し遂げたいことがある」と言ったという。

 当選を確実にした今井氏は事務所で報道陣に「多治見の未来を支えたいと政治を志した。一票一票を重く受け止めて皆さんの思いを県政に伝えたい」と感謝を述べた。【黒詰拓也】

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