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陸自ヘリ不明、自衛隊の衝撃 安全性高い機体・幹部搭乗の事故


 沖縄県の宮古島付近で陸上自衛隊ヘリコプターが行方不明になってから丸1日が経過した。自衛隊と海上保安庁は周辺海域の捜索を続け、機体の一部とみられる漂流物を発見しているものの、坂本雄一・陸自第8師団長(55)ら隊員10人の安否の手がかりは得られていない。安全性が高いとされるヘリの事故に、自衛隊関係者の間には衝撃が広がっている。

畳まれた救命ボート 突発事態か

 陸自によると、坂本師団長ら10人が搭乗した第8飛行隊(熊本県益城町)所属の多用途ヘリ「UH60JA」は6日午後3時46分、宮古島にある航空自衛隊分屯基地を離陸。同54分、空港管制と無線交信した後、56分にレーダーから消失した。

 陸自や海上保安庁によると、宮古島北端と橋でつながる池間島の沖合の海域で、7日朝までに不明機の搭載物や部品とみられる漂流物が次々に見つかった。ヘリの機影が消えた地点の北側に当たる。

 漂流物は、「陸上自衛隊」と記され折り畳まれた救命ボート2個やドア、ローター(回転翼)など10個以上。救命ボートの一つは製造番号から不明機に積んでいたものと特定された。

 備え付けの救命ボートは折り畳まれ未使用の状態で見つかった。今のところ、不明機が飛行中に外部に異常を訴えた形跡もみられない。空自第7航空団司令を務めた林吉永・元空将補(80)は「救命ボートの操作や緊急連絡をする時間もなく、突発事態が起きたのではないか」とみる。

 林氏によると、不明機には安全のために二つのエンジンが備わっており、トラブルで一つが停止しても飛行できる構造だという。陸自では多用途ヘリとして隊員の輸送でも使われ、海自や空自も哨戒ヘリや救難ヘリとして活用している。林氏は「何らかの原因で、二つのエンジンに同時に異常が発生したと考えざるを得ない」と言う。

「状況把握、指揮官として当然」

 幹部搭乗機の事故という点でも関係者に驚きが広がっている。第8師団は熊本、宮崎、鹿児島3県の防衛や警備を担い、島しょ部にも緊急展開する部隊で、坂本師団長は3月30日付で就任した。不明機は航空偵察の訓練中で、宮古警備隊の隊長らも乗っていたという。

 防衛省制服組トップの統合幕僚長だった河野克俊氏(68)は「師団長が行方不明なのは隊員もショックだろうし、組織へのダメージも計り知れない」と話す。

 今回の飛行の目的やタイミング、ルートについて、河野氏は「担当する地域の地形や状況を把握する目的だろう。就任後に素早く状況把握に乗り出すのは指揮官として当然の判断」と理解を示す。

 元陸上幕僚長の冨澤暉(ひかる)氏(85)も「師団長がこうした事故に遭うのは前代未聞だ」と驚きつつ、「現状報告ができる人を同乗させ、地域情報を把握するのは当然のこと。今回の飛行に違和感はない」と印象を語る。

 それだけに、事故原因についてはどの関係者も首をかしげる。河野氏によると、このヘリについては一つのエンジンが停止してももう一つのエンジンだけで飛行を続けたり、不時着したりする訓練を隊員が積んでいるはずだという。河野氏は「天候は問題なく、夜間飛行でもない。今ある情報では原因を推測するのは難しい」と話した。【山田奈緒、島袋太輔、春増翔太】

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