日本将棋連盟の佐藤康光会長(53)は4日、記者会見し、任期満了に伴う役員(理事)予備選挙に立候補せず、今期限りで退任することを明らかにした。同日立候補が締め切られた予備選には羽生善治九段(52)が届け出を済ませており、予備選で当選すれば新会長に就任する公算が大きい。
佐藤会長は記者会見で「来年は将棋連盟の創立100周年という大きな節目を迎える。次の100年をどうしていくかを次のメンバーに託すのがいいと判断した」と述べた。羽生九段については「立候補するという話は聞いていたが、特に話し合いはしていない」としたうえで「羽生さんの立候補は将棋界にとっても大きな事実。将棋界の発展に非常に大きな力をもらった」と高く評価した。
一方、羽生九段は同日、将棋連盟を通じて「この度、日本将棋連盟役員選挙に立候補する届け出を提出しました。2024年に100周年を迎えるにあたり自分なりに力を尽くす所存です」とのコメントを発表した。
佐藤会長は、将棋ソフト不正使用疑惑を巡る混乱の責任を取って辞任した谷川浩司前会長(60)の後を受けて2017年2月に就任。直後に藤井聡太王将(20)が史上最多の29連勝を記録し、空前の将棋ブームが起きた。東西将棋会館建て替えの陣頭指揮にも当たったほか、多忙な会長職の傍ら、名人戦A級順位戦でも奮闘を続けた。今期は唯一の50代だったが、B級1組へ降級となった。
予備選は将棋連盟の理事を選ぶために行われる。理事の定数は東京5、関西2。立候補が定数と同数の場合は過半数の信任を得た人が当選する。26日に投票が行われ、6月9日の通常棋士総会で承認される。新会長は、直後に開かれる理事会での互選により選出される。【丸山進】