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「宇宙はもういいかな」 日本人初の宇宙飛行士 秋山さんは今


 日本の新たな宇宙飛行士候補が14年ぶりに誕生した。そういえばあの人は……。連絡を取ると三重県の山中で暮らしていた。日本人で初めて宇宙へ行った元TBS記者の秋山豊寛さん(80)のことだ。宇宙飛行士候補への期待を語ってもらおうとしたが、「ニュースを見ていない」と意外な回答。もはや宇宙に興味はないのだろうか。

 訪ねたのは3月中旬。自宅に着くと、まずは畑を案内された。ソラマメや芽キャベツ、赤カブなどが育ち「もう少しすると猿が出るんだよ。本格的な畑仕事は4月からだね」と教えてくれた。早寝早起きと農作業による適度な運動が健康の秘訣(ひけつ)という。

 本題の宇宙の話に移りたいのだが、山奥とあって電波状況が芳しくない。なんとか記者のパソコンをインターネットにつなぎ、新たな宇宙飛行士候補が発表されたときの動画を秋山さんに見てもらった。

 最年長で選ばれた諏訪理さん(46)は、宇宙飛行士を目指したきっかけについて「中学生のころ、日本人で初めて秋山さんが宇宙に行った。テレビにかじりついてほとんどの番組を見ていた」と話していた。

 秋山さんは「宇宙からの生中継を見た33年後に、諏訪さんが夢を育んで(候補に)選ばれたのは、眠っていた種が芽吹くようでうれしいね」と笑顔を見せた。

 さぞかし宇宙への郷愁に駆られたはず――。そう思って「再び行きたくなったんじゃないですか」と尋ねると、「行きたいとは思わないね。宇宙に行くくらいなら、シルクロードの旅をしたり、有名な滝なんかを見たりしたいよ」と笑い飛ばされた。

 秋山さんは1990年12月、旧ソ連の宇宙船ソユーズで飛び立った。当時は、「宇宙中継」という“ミッション”があったからこそ「面白かった」という。

 「テレビの歴史の中で日本初というインパクトを与えた。何のミッションもなく行っても、宇宙というのは楽しいところでは全然ないよ」と強調する。

 5年後にTBSを早期退職し、福島でシイタケ栽培など農業をしていた。東京電力福島第1原発事故の後は京都で大学教員をしていたが、2017年から三重・大台町の畑で再び土と向き合う。

 「宇宙から見た地球がすごくきれいだったので、自然を生で感じてみたくなった」。宇宙での経験が少なからず影響している。

 自宅にはテレビもインターネットもなく、情報源はラジオや雑誌、新聞だ。

 「人の一生は100年だが、地球は生まれて46億年。宇宙で過ごす中で、時間の単位の測り方が変わった。俺は俺なりの時間感覚で生きていきたい」【川瀬慎一朗】

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