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男か女かはどっちでもいい =俳優・のんさん


 今月、日本アカデミー賞授賞式に参加しました。映画「さかなのこ」(沖田修一監督)で優秀主演女優賞をいただいたからです。会場にいたのは、真剣に映画作りに力を注いでいる方ばかり。そう思うとゾクゾクして、とっても楽しかった。

 魚が大好きな男の子「ミー坊」が「さかなクン」になるまでを描いたこの映画。主演したことは私にとって「事件」でした。

 ミー坊を演じることに違和感はなかったんですが、観客がどう見るかは別。さかなクンの帽子(ハコフグ帽)をかぶって学生服を着たりするし、女性である私が演じていいのかな?という気持ちは消えなかった。台本読みが始まったのは、そんなときでした。現場のホワイトボードには一枚の紙。「男か女かはどっちでもいい」。沖田監督の手書きの言葉でした。

 やってみたい役があると男性が当てられていたり、自分ならこうやるからもう少し配役に幅があれば……と考えることが、これまで多かった。それが、「男らしいとか女らしいとか、どっちでもいい。ミー坊という人。それを演じて」という監督のメッセージで、私はすごく勇気が出ました。後から知ったんですが、キャスティングの時点から、プロデューサーが「ミー坊にぴったりな役者……のんかな」とイメージを重ねてくれていたみたい。他の人があの役を演じていたらきっと嫉妬していたなと思います。

 映画の中で、ミー坊は「ふつうってなに?」と問いかけます。私は「ふつう」に対峙(たいじ)すると、押しつける側と私と、どちらかが間違っていると考えがちでした。でも、自分にとっての「ふつう」を大事に生きているミー坊のような感覚でいいのかもって演じながら思いました。

 俳優以外の活動でも、人がどう思うかはすごく大事ではあるけれど、自分の世界に浸りまくってやることも大切だなとこの映画が教えてくれた。それが、自分には「事件」だったなと思うんです。

のん

 俳優、創作あーちすと。1993年生まれ。映画「さかなのこ」で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞、第77回毎日映画コンクール女優主演賞ノミネート。

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