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エンジン車の新車販売禁止法案、EU理事会で承認延期 ドイツ反対に


 欧州連合(EU)域内でガソリン車など内燃機関(エンジン)を搭載する車の新車販売を2035年から事実上禁止する法案について、EU加盟国で構成する理事会による正式承認が延期され、法案が宙に浮いている。自動車大国ドイツが土壇場で反対の意向を示し、合意が困難となったためだ。

 法案は、35年までに乗用車と小型商用車の新車を、二酸化炭素(CO2)を排出しないゼロエミッション車にする内容。実現すれば、35年以降はガソリン車に加え、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の新車も事実上販売できなくなる。

 EUは50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。EUの欧州委員会が気候変動対策の一環として提案した同法案を巡っては、EU各国と欧州議会が昨年10月に政治合意。今年2月には欧州議会が法案を採択したことで、欧州理事会の正式承認を残すだけとなっていた。

 しかしドイツのウィッシング運輸相は2月28日付の独大衆紙ビルト(電子版)で、合成燃料「eフューエル」を使用する新車販売が認められない限り、「法案には賛成できない」と表明。ショルツ独首相も3月6日の記者会見で欧州委に対し、「35年以降にeフューエルをどう使用できるかに言及した提案を期待している」と対応を求めた。

 法案は、EU加盟27カ国のうち15カ国以上が同意し、なおかつ同意した国々の人口総計がEU総人口の65%以上となることが承認の条件だ。欧州メディアによると、ドイツ以外にイタリアやポーランド、ブルガリアも賛成しない意向を示しており、承認が見込めないことから、今月7日に予定されていた承認手続きは延期された。

 ドイツが使用を求めるeフューエルは、CO2と再生可能エネルギー由来の水素を合成させてできる合成燃料の一種だ。燃やせばガソリン同様CO2が出るが、製造時に大気中に含まれるCO2を回収して利用すれば、地球温暖化防止につながるとされ、実用化に向けて開発が進められている。

 ドイツがeフューエルを認めるよう求めるのは雇用対策の側面が大きい。電気自動車(EV)は動力に内燃機関を必要としない。欧州自動車部品工業会が21年に公表した調査結果によると、EVシフトによってEU域内では40年までに内燃機関製造にかかわる最大約50万人の雇用が失われ、EV用バッテリー生産などの新規雇用を差し引いても27万5000人の雇用減となる。eフューエルはガソリン車などの内燃機関で使えるため、雇用維持に一定の役割を果たすとみられる。【ベルリン念佛明奈】

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