米海兵隊トップのバーガー司令官は14日、黒海で米軍の無人機がロシア軍機と衝突したことに関連して「ロシア方面だけでなく、太平洋地域でも、最も懸念していることの一つだ。中国やロシアの好戦的な操縦士や船長が（米軍に）接近しすぎて衝突してしまったら、できる限り速やかに対処しないといけない」と指摘した。その上で、危機管理のための中国人民解放軍とのホットラインが機能していないことを「心配している」と述べた。
バーガー氏はワシントンのイベントで講演後、出席者からの質問に答えた。中露への対応に関して「故意でも事故でも、衝突事案があれば、なるべく早く事態をはっきりさせないといけない。しかし、人民解放軍との間には本来あるべき連絡手段が機能しておらず、対処がより難しくなっている。相手方とすぐに『何がどうなっているんだ』と話せないことを懸念している」と指摘した。
米中両政府は2007年、軍事当局間のホットラインの開設で合意した。しかし、中国側が通話に応じないなど、たびたび機能不全に陥り、米国では不満が高まっている。サリバン米大統領補佐官（国家安全保障問題担当）も13日の記者会見で「米中間には軍と軍との安定した連絡手段がない。我々は意図しない緊張激化や計算違いが起きないように連絡手段が重要だと考えている」と指摘していた。【ワシントン秋山信一】
