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元イングランド代表、番組司会を降板 BBC、政府批判を理由に


 サッカー元イングランド代表FWで、Jリーグの名古屋グランパスエイトでもプレーしたガリー・リネカー氏(62)が10日、英BBC放送のサッカー番組の司会を降板した。リネカー氏は最近、スナク政権の移民政策を強く批判しており、BBCはこれが「政治的中立」を定めた放送指針に違反すると説明した。だがリネカー氏を支持する声も多く、波紋が広がっている。

 騒動のきっかけは英政府が7日に発表した法案。英仏海峡を小型船で渡って密入国を試みる不法移民・難民について、今後は原則として受け入れず、強制追放することを柱とする内容だ。この法案についてリネカー氏は「1930年代のドイツ」が採用した政策に「似てなくもない」とツイッターで批判。直接表現ではないものの、政策をナチスに例えた。これに対し「非常に失望した」(ブレーバーマン内相)などと閣僚らが反発していた。

 だがリネカー氏の降板を決めたBBCの判断にも批判が噴出している。同じ番組に出演していた元イングランド代表のサッカー解説者イアン・ライト氏らはリネカー氏に連帯を示し、次々に出演拒否を表明。BBC元幹部のグレッグ・ダイク氏も「BBCの判断は誤りだ」と述べ、「私たちには言論の自由がある。政府の圧力に屈したように見えてしまい、かえってBBC自身の信頼性を損なった」とBBCを批判した。

 リネカー氏は86年のワールドカップ(W杯)メキシコ大会の得点王。94年に名古屋で現役を引退した。【ロンドン篠田航一】

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