H3ロケット初号機が発射できなかったことについて、的川泰宣・宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授は「(補助ロケットの)固体ロケットブースター(SRB)に火が付かないケースは国内外を見ても非常に珍しい。SRB側のハードウエアの問題であれば、すぐに修正し再打ち上げできるだろう。だがもし主エンジンの問題で十分な推力が得られず、支障をきたしていたならば、改めて打ち上げるまでに時間を要する可能性がある」と指摘する。
H3ロケットは国産主力機として29年ぶりに新規開発された。的川さんは「初号機が予定通りに打ち上がらなかったのは残念だが、打ち上げた後の失敗では結果は重大で、回避できたのは幸いだった。原因究明を急ぎ、再打ち上げに備えてほしい」と話す。
小型ロケットを開発しているベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」(北海道大樹町)の稲川貴大社長は「SRBに着火しないというのは失敗と捉えられがちだが、ロケットとしては異常系の確認ができた。打ち上げ直前に安全側に倒れられたというのは、適切な判断ができる良いロケットだということだと思う」と話した。【田中韻、池田知広】