韓国国防省は16日、国防政策の概要をまとめた2022年版の「国防白書」を発刊した。22年5月に発足した尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権では初めて。「北朝鮮の政権と北朝鮮軍は我々の敵だ」と記述。核・ミサイル開発を加速化させる北朝鮮に対し、米韓同盟を強化することで対抗する尹政権の方針が反映された。
国防白書は2年に1度発刊される。北朝鮮を「敵」とする表現が復活したのは、尹政権と同じ保守系の朴槿恵政権下の16年版以来6年ぶりとなる。進歩系で北朝鮮との対話を推進した文在寅（ムン・ジェイン）政権下の18、20年版では削除されていた。
白書では、北朝鮮の核・ミサイル開発やミサイル発射について、より具体的に記述。北朝鮮が保有するプルトニウムの量を20年版の約50キロから約70キロに引き上げた。国防省は「国民が北朝鮮の脅威を明確に認識できるようにした」としている。
日本に関しては、「共同利益に符合する未来協力関係を構築していかなければならない、近い隣国」と表記。尹政権は民主主義や人権を重視する「価値観外交」を展開しており、日本を重視する姿勢が反映された。一方で、韓国が実効支配している島根県の竹島（韓国名・独島）に関しては、「（日本の）不当な領有権の主張に対しては断固かつ厳重に対処する」とした。【ソウル渋江千春】
