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公営住宅の同性カップル入居、容認は一部地域のみ 北海道


 公営住宅法に基づく北海道の道営住宅について、同性カップルや外国人らが入居できないことが問題になっている。道は2022年秋に入居要件を緩和する方針を示したが、LGBTQ当事者らは一部地域の道営住宅にしか入居できない運用になっており、道民からは「明らかな地域間格差だ。公営住宅の趣旨に反している」と批判の声が上がる。【山田豊】

 道住宅課によると、道営住宅には複数の入居要件があり、収入が一定程度以下で、住宅の確保に困っている人などが対象とされている。また、世帯の入居を想定した「同居親族要件」もあり、世帯として認められない同性カップルらは入居の対象外とされてきた。

 同居親族要件について、道の担当者は「公営住宅法は昭和20年代に制定された。当時はとにかく質よりも量を供給することが求められ、単身よりも家族世帯を対象に入居要件を設定した経緯がある」と語る。その後は社会の変化を受け、60歳以上の高齢者や障害者らは同居の親族がいなくても道営住宅に入居できるようになった。

 このような流れから、道は23年春に同性カップルや外国人らも同居親族の有無に関わらず道営住宅に入居できるように規定を改正した。しかし、同性カップルの入居は「道営住宅所在の自治体が認めるパートナーシップ宣誓書受領証の交付を受けた者」とされており、札幌、岩見沢、江別、苫小牧、函館、北見、帯広の各市にある道営住宅にしか入居できない状況だ。外国人は石狩、小樽、苫小牧、函館の各市と岩内、浦河の各町でのみ入居申し込みが可能とされている。道営住宅は道内52市町に約1000棟(22年3月末時点)整備されており、同性カップルや外国人らは40以上の市町にある道営住宅に入居できない。

 なぜ、同性カップルや外国人らは、限られた地域の道営住宅にしか入居の申し込みができないのか。道住宅課によると、道営住宅は道が建設、管理しているが、道営住宅整備活用方針で「市町村の補完的役割として整備、活用を図る」と定められており、市町村営住宅の管理規定を踏まえた入居要件で運用しているという。関係者は自治体の動きの鈍さについて「住民の理解が、今の社会の流れに追い付いていない現実もある」と説明する。

 ただ、道は運用の見直しに前向きな姿勢を示す。道住宅課の大場一郎課長補佐は「今回は調整ができた市町にある道営住宅から、同性カップルや外国人などの入居を可能とする運用を始めている。これで終わりではない」と弁明した。同じ道営住宅に関わらず、立地する自治体によって運用の違いがあることについては「課題だと捉えている。最終的には全ての道営住宅で(同性カップルや外国人らの)入居申し込みが可能になるようにしたい」と語った。道は現在、各市町と協議を重ねているという。

 北海道のLGBTQ当事者らへの差別や偏見、社会的な孤立をなくすために活動している団体「にじいろほっかいどう」で理事長を務める国見亮佑さんは「道営住宅なのに、入れるところと入れないところがあるのはおかしい」と批判。同性カップルが道営住宅に入居できるようになった自治体は独自にパートナーシップ宣誓制度を導入している市のみだと指摘した上で「道がパートナーシップ条例を制定しないから、このようなねじれが生じているのではないか。東京や大阪を含む10都府県は制度を導入している。北海道も検討すべきだ」と主張した。

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