中国国営新華社通信は10日、共産党政治局常務委員の王滬寧(おうこねい)(党序列4位)氏と台湾の最大野党・国民党の夏立言副主席が北京で会談したと報じた。中台関係が緊張する中、双方が関係強化をアピールし、台湾の与党・民進党の蔡英文政権をけん制したかたちだ。
新華社通信や国民党の発表によると、王氏は会談で、「台湾独立は平和と相いれず、断固として反対すべきだ。両岸(中台)の交流を一刻も早く正常化することが急務だ」と強調した。夏氏は「対話を継続し、相互の信頼を築き上げ、台湾海峡の平和維持を重要な目標とすれば克服できない困難はない」と応じた。昨年10月に習近平指導部が3期目に入って以降、両党幹部による会談は初めて。双方が対話を継続していく姿勢を示した。
国民党は、中国との対話を通じて台湾海峡の緊張を緩和させる方針を示し、2024年の次期総統選に向けて支持拡大を図る。「台湾独立勢力」とみなす民進党が政権を維持することを阻止したい中国側は、中台が「一つの中国」で合意したとされる「92年コンセンサス」に基づく対中政策を進める国民党を厚遇する。
王、夏両氏が会談した10日には、新型コロナウイルスの影響で運休していたフェリー便(福建省泉州市-台湾・金門島)が3年ぶりに再開した。
夏氏は8~17日の日程で訪中している。9日には中国で台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室トップの宋濤(そうとう)主任と会談した。【台北・岡村崇、北京・岡崎英遠】