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維新市政下で切られゆく街の木 「伐採ありき」と住民が疑うわけ


 それは、突然の通告だった。閑静な住宅街の駅前通りにあるイチョウ並木(計20本)の幹にテープで留められた1枚の白い紙。「この木は撤去を予定しています」と記されていた。予定はわずか2週間後。張り紙で初めて伐採を知らされた住民女性(34)は「なんで急に……」と困惑するばかりだった。

 イチョウ並木は、女性が暮らすマンション(大阪市東住吉区)近くにある。秋になると鮮やかな黄色に染まり、毎年楽しみにしていた。撤去を予告してきたのは、木を管理する市だ。電柱や電線、道路標識の妨げになることが理由という。だが、女性の目にはそれほど邪魔には見えない。市に撤回を求めたものの、年の瀬にイチョウは根元から切り倒された。

 市が街路樹の撤去を始めたのは2022年夏から。さらに大阪城公園など各地の公園樹を含めて計約1万本を24年度にかけて撤去するとしている。だが、これに住民が反発。地域政党「大阪維新の会」の市長の下で進む事業であることから、SNS(ネット交流サービス)上では維新の「身を切る改革」になぞらえて「木を切る改革」と批判されている。

 市はこの事業を「安全対策事業」と銘打つ。植樹から時間が経過した木は腐敗による倒木の恐れがあり、苦情も多いとして、地域の安全を考えたものだと強調している。

 だが現場を歩くと、市に対する不信感すら住民の間に漂っている。

 例えば予算の問題だ。公園樹と街路樹に関する市の維持管理費は12年度以降、おおむね横ばいで推移している。ただし人件費の上昇に伴う作業費の高騰などで、管理できる木の本数は10年前から半減した。住民側は、予算が抑え込まれて管理が不十分になり、伐採ありきで進めているのではないかと疑いの目を向ける。

 どこの木を伐採するのかを市が明らかにしてこなかったことも、住民側は「説明不足」と不満を募らせる。木に通告文を張って知らせるだけで、しかも張り紙をしてから数週間の短期間で撤去を始めている。市が一転してホームページに撤去場所を示すようになったのは23年2月。毎日新聞が事業について取材をした後のことで、市は「住民の要望を受けて検討した結果」と説明した。住民は「もう少し住民の意見に耳を傾けて」と求める。地域のための事業でも、その進め方が問われている。【松本紫帆】

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